東芝再建、かじ取り難しく 投資ファンドとにらみ合い

東芝本社が入るビル=東京都港区

 東芝が13日実施した自社株買いは、上限とした7千億円の17%に相当する1207億円にとどまった。大株主である海外の投資ファンドが応募すると期待していたが、少なかったとみられる。東芝は引き続き、経営陣への圧力を強めるファンドとのにらみ合いを続けながら、再建を果たす難しいかじ取りを迫られる。

 東芝は、負債が資産を上回る債務超過の解消を目指し、2017年12月に約6千億円の増資を行い、計60のファンドが新株を引き受けた。一部は自社株買いの増額などを要求。東芝首脳は「無理を承知で言ってくる」と対応に苦慮してきた。

 自社株の買い付け価格は、増資時に発行した新株の値段よりも38%高く設定した。15年公表の不正会計前から東芝株を持つ個人株主には安い水準にすることで、多くのファンドが売却するとみていた。

 東芝幹部も「ファンドは出て行ってくれるだろう」と期待を隠さなかったが、想定外の結果に終わった。大和証券の西村和哉シニアアナリストは「東芝の企業価値はもっと高くなる」と指摘。多くのファンドは株価上昇を見込んで自社株買いに応じなかったようだ。

 東芝は半導体メモリー事業の巨額売却で「財務的には優良企業」(取引銀行)となった。株を保有し続けるファンドが、配当増額など株主還元の充実を訴えるのは必至だ。再建が軌道に乗らなければ、人員削減や工場再編削減といったリストラの積み増しを求めることも想定される。


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