都の街歩きイベントが好評 地域の隠れた魅力アピール

「御殿山下台場」跡を巡るツアー参加者ら=東京都品川区

 東京都がこの秋、都内各地の観光協会などが企画した街歩きツアーを一括して発信するイベント「ぶらっTokyoさんぽ」を初めて開催。手頃な料金の地域密着型ツアーが、参加者から好評を博している。地域の歴史や隠れた魅力を引き出していることが人気の秘密のようだ。

 歴史、文化、自然、グルメなどをテーマにした約30のツアーを、ホームページなどで紹介。中には申し込み開始から数日で定員に達したものも。

 10月、ツアーの一つ「明治150年 龍馬と行く! 船でお台場巡り&しながわ散策」に参加してみた。ガイドの案内の下、1853年の黒船来航後、江戸防衛のために砲台を並べた品川台場の一つ「御殿山下台場」跡や、埋め立て前は付近が海だった歴史を物語る利田神社の「鯨塚」などを訪ねた。

 ハイライトは、二十歳の坂本龍馬に扮した地元劇団員と共に、京浜運河を通って東京港を巡る船旅。建設途上で中止された第四台場の跡地が見えると、龍馬役が「あの石積みは見覚えがあるぞ!」とアピール。参加者の笑いを誘っていた。2時間半ほど歴史散歩を満喫し、参加費は2千円。

 街歩きのツアーに初めて参加したという20代女性のグループは「ビルの街だと思っていた品川周辺に、運河が流れ、船着き場があった。意外に下町な感じがして、発見があった」と満足した様子だった。

 都によると、地域外から観光客を呼び込むと同時に、住民に住んでいる街をよく知り、街への愛着や誇りを持ってもらうことが狙い。

 今回は11月末まで。都の担当者は「東京の深み、歴史文化が積み重なっているところをぜひ知ってほしい。ツアーの数を増やし、来年以降も続けていきたい」と話す。


  • LINEで送る