膝はついても倒れない刑事 「真犯人」上川隆也

「さまざまな人間模様の中に一つの真実があり、見応えがあるドラマ」と話す上川隆也

 上川隆也主演の連続ドラマ「真犯人」(全5回)がWOWOWで23日から放送される。上川が演じるのは昭和から平成にまたがる34年にわたって、未解決事件の真犯人を追求する重藤刑事。事件への執念を失わない刑事を、上川は「1度ならず2度も『負けた男』。それでも膝はついたけれど倒れることをかたくなに拒み、熱を失わずにいる男」と表現する。

 重藤は自分がかつて捜査に参加した、1974(昭和49)年の幼児誘拐殺人事件の時効1年前に特別捜査班の管理官となり、再捜査を行う。真相にあと一歩と迫りながら果たせず、その20年後の2008(平成20)年、当時につながる新たな事件が起こり、すでに警察を離れていた重藤は捜査への協力を求められる。

 ドラマは年代を超えた二つの捜査が交差しながら進み、警察内部や被害者家族といったさまざまな人間関係も絡み合う。上川は「事件と人間関係。複雑なスパイラルが織りなされながら、34年かけて1点に収束していく」と物語の見どころを語る。

 特別捜査班のメンバーはでんでん、甲本雅裕ら味のある俳優がそろう。印象に残るシーンの一つとして、上川は捜査班が解散に追い込まれる場面を挙げ「皆の表情が胸に迫り、演じながら悔しさをわがことのように感じた」と撮影を振り返る。

 アニメなど多趣味で知られる上川。真犯人を追い続けた重藤のように、長年熱中していることについて尋ねるとしばらく考えて答えた。「一瞬も飽きることがなく続けているのは芝居だけ。僕にとってこんなに面白いことは他にはない」


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