日中合作映画「詩季織々」が完成 美しい映像で描く中国の今

アニメ映画「詩季織々」で、国境を越えてタッグを組んだリ・ハオリン総監督(右)と竹内良貴監督=東京都千代田区

 新海誠監督の「君の名は。」などを手掛けたアニメ制作会社「コミックス・ウェーブ・フィルム」と、日中の新鋭監督3人がコラボした映画「詩季織々」が完成。新海作品に憧れ、合作を提案したリ・ハオリン総監督は「刻々と変化する中国の今の風景と、そこで生きる若者たちの物語を、美しい映像で紹介できてうれしい」と話した。

 かつて新海監督の「秒速5センチメートル」を見て「衝撃を受けた」というリ総監督。「上海を舞台に『秒速―』のような映画を作りたい」と、5年前から同社にオファーを送り続けていた。

 テーマは「衣食住行」。衣食住に「交通」を加えた、中国で生活の基本を表す概念を、三つの短編からなるオムニバス形式で描く。「人々の感情の動きを、日常の出来事に託して表現した。新海作品とも共通する、アジア独特の感性だと思う」

 舞台となった上海、広州などの都市は、新海作品で背景美術やCGを担当した竹内良貴監督らが“実写超え”の映像美で再現した。下見旅行で撮った写真は「短編一つにつき、数千から1万枚」。リ総監督も「歩道橋を回り込むようなカメラワークなど、アニメでは難しい描写も完璧に実現してくれた」と絶賛する。

 竹内監督は短編の一つ「小さなファッションショー」で初のオリジナル作品に挑戦。「自分が仕事と向き合う中で苦悩した経験を下敷きにした。国境を越えて共感してもらえるはず」と話した。

 映画は8月4日公開。


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