「椅子や机の視点で」 「リズと―」の山田監督

映画「リズと青い鳥」のポスター画像((C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会)

 高校の吹奏楽部を舞台に、少女2人のみずみずしい青春を切り取ったアニメ映画「リズと青い鳥」の公開に合わせ、山田尚子監督が「校内にある椅子や机の視点で、彼女たちを見つめているような映画です」と語った。

 テレビアニメ化もされた人気小説「響け!ユーフォニアム」シリーズが原作。オーボエ担当のみぞれとフルートの希美、2人の友情を巡る微妙な感情の動きを、音楽と絵本という二つの要素に絡めて表現した。「主題を繰り返しながら変化させていく、音楽の手法を意識して構成している」という。

 せりふには表れない心の機微を描き出すため、目線の動きやまばたきの表現一つ一つに心を配った。「言葉にしづらいような負の感情も含めて、少女たちの“今”を肯定してあげたかった」

 2016年のヒット作「聲の形」など、原作ファンをうならせる作品づくりで知られる。「最初に原作を読んだ時の印象を大事にして、作品世界そのものに色、音、時間をつけることを心がけている」。原作のストーリーをなぞることには必ずしもこだわらない。「ただのコピーでは、作品が持つ本当の熱が伝わらないこともある」と話す。

 物語の鍵を握る絵本の登場人物、リズと不思議な少女の声は、女優の本田望結が一人二役で担当した。山田監督は「感性が豊かで、声もかわいい。作品全体を温かくしてくれました」と、声優・本田を絶賛した。

 映画は21日公開。


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