4島共同活動、特別合意も ロシア法律適用の原則論崩さず 

 【モスクワ共同】ロシアのラブロフ外相は16日までに、日本訪問を前に共同通信などとモスクワのロシア外務省で会見した。日ロ両国が北方領土での実現を目指す共同経済活動について、ロシアの法制度を適用すべきだとの従来の原則論を繰り返した。一方で「法的手続きよりも、事業が先決だ」とも強調。事業が大規模になり必要となれば「特別な政府間合意」を締結する可能性にも触れ、今後の交渉に含みを持たせた。

 5月にロシアを訪問する予定の安倍晋三首相は、平和条約締結交渉を進展させるため、共同経済活動の実現を目指している。ラブロフ氏は、日ロ双方が4島の主権問題に直結する法的枠組みの議論を後回しにし、事業を優先すべきだとの考えを示した。

 日本側はロシアの4島への主権容認につながらない「特別な制度」創設を目指しているが、ラブロフ氏は「超国家的な機関は不要」と突き放した。一方で「日本側は法的に受け入れられない合意には応じない」と指摘した。

 その上で、進出する日本企業に対し「経済特区」などのロシアの法制度に基づいて優遇措置を与えると提案。事業規模が大きくなり現行制度で対応できない場合は、追加条件などについて「日本と特別な政府間合意を結ぶ用意がある」と表明した。

 日本が配備する地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」については、米国がロシアの核戦力を封じ込めるため世界中で構築するミサイル防衛(MD)網の一環だとの認識を改めて強調。日ロが戦略的な友好関係を築く上で障害になっていると警告した。

 朝鮮半島情勢では、南北や米朝間の首脳会談の実現に期待しつつも、米トランプ政権内の方針が一致しておらず、予測できないと指摘した。

 昨年3月に東京で再開された日ロ間の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)について、ロシアでの次回開催を調整中だと明かした。

 ラブロフ氏は21日、東京で河野太郎外相と会談する予定。


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