与野党、無党派狙い綱引き激化 「1強」「新党」で応酬 

街頭演説で候補者の訴えを聞く大勢の有権者ら=13日午後、熊本市

 衆院選は、22日投開票に向けて中盤戦に入る。与野党は13日、無党派層の支持を取り込もうと綱引きを激化させた。野党側は、安倍晋三首相(自民党総裁)による「1強」政治への批判を強めたのに対し、首相ら与党側は、希望の党など新党に照準を合わせ応酬した。

 安倍首相は、熊本市の街頭演説で、小池百合子東京都知事が率いる希望の党などを念頭に「当選するため、党名を変える。人気のありそうな党に移る人ばかりだ」と述べた。さらに、2012年に自民党が政権に復帰した当時を振り返り「政権交代とかリセットとか、スローガンで政権を奪還したのではない。デフレ脱却で経済を成長させ、国民を豊かにした」と語った。

 公明党の山口那津男代表は熊本県内で、野党各党の政策を挙げ「無責任な政党が希望になるはずはない」と主張した。

 野党は、無党派層のバランス感覚に期待し、首相の政治姿勢に焦点を当て、これ以上の権力集中を避けるためにも支援を訴える戦術だ。

 小池氏は、民進党の前原誠司代表と並んで都内の街頭で「このまま大勝させたら、日本はどうなるのか。安倍1強政治を続けさせてはならない」と演説した。前原氏も「(民進の希望への)合流は、1強政治を倒すためだ。今の政治の流れを変えなければならない」と呼び掛けた。これに先立ち小池氏は、都庁内で記者団に、自民党と大連立を組む可能性について「ありません。是々非々の対応で進めていく」として明確に否定した。

 共産党の志位和夫委員長は福島市で「憲法を壊し、民意をつぶし、そして国政を私物化する。戦後最悪の政権だ」と非難した。立憲民主党の枝野幸男代表は札幌市で「一握りの人が、上から目線で自分たちの価値観を国民に押しつけるのは政治ではない」と強調した。

 日本維新の会の松井一郎代表は、広島県内で「自民党圧勝では横柄になる。真正面から議論できる政党を選んでほしい」と求めた。社民党の福島瑞穂副党首は名古屋市で憲法9条改正を例にして「首相の野望を市民の力で打ち破ろう」とアピールした。


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