津波犠牲者の祭壇移転、寂しさも 宮城・女川、爪痕薄れ 

七十七銀行女川支店跡地の地盤かさ上げ工事を控え、高台に移転した祭壇で手を合わせる田村弘美さん(手前)ら行員の遺族=31日午後、宮城県女川町

 東日本大震災の津波で行員ら12人が犠牲となった宮城県女川町の七十七銀行女川支店跡地に31日、4人の遺族や友人が集まり、祭壇を跡地から近くの高台へ移した。一帯のかさ上げ工事が始まるためで、家族の最期となった場所を離れ、犠牲を伝える爪痕が薄れゆく寂しさを募らせた。

 祭壇は、支店が解体された直後の2012年6月に設けられた。慰霊の場所にしようと、遺族が花を植えたプランターを置いたのがきっかけ。県外の来訪者も多く、震災を語り継ぐ場になった。

 「ここは息子が生きていた場所。心のよりどころだった」。行員の長男(((当時25)を亡くした田村弘美さん(52)は涙をぬぐった。


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