近鉄敗訴の二審差し戻し 石綿被害訴訟で最高裁 

 大阪府の鉄道高架下で文具店を経営していた男性が中皮腫を発症し死亡したのは、壁に吹き付けられたアスベスト(石綿)が原因として、遺族が建物を所有する近畿日本鉄道に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は12日、近鉄に約6千万円の支払いを命じた二審大阪高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

 判決は「建物の所有者が責任を負うかどうかは、建物がいつの時点から通常の安全性を欠いたと評価されるかを確定し、発症との因果関係を判断する必要がある」と指摘。「二審は『いつの時点から』を明らかにしていない」とし審理を尽くさせるため差し戻した。


  • LINEで送る