習志野 春夏秋優勝44年ぶり 球児の奮闘、復興後押し 回顧 秋季千葉県高校野球大会

習志野-拓大紅陵 5回表、習志野の宮下が2ランを放つ=6日、ゼットエー
習志野-拓大紅陵 5回表、習志野の宮下が2ランを放つ=6日、ゼットエー
外野客席フェンスが崩れた袖ケ浦市営球場=9月28日
外野客席フェンスが崩れた袖ケ浦市営球場=9月28日

 第72回秋季県高校野球大会は習志野が6年ぶり9度目の優勝を果たし幕を閉じた。準優勝の拓大紅陵と共に、来春の甲子園出場選考の重要な資料となる関東大会(19日開幕・群馬県)に出場する。令和最初の秋の千葉大会を振り返る。

 新体制で戦う秋では珍しく、実力校が順当に勝ち進んだ。8強は全て甲子園出場歴があるチームで、夏の再戦となった準決勝の木更津総合-習志野など好カードが続出。県立校は我孫子東と選手15人で力戦した東金の16強が最高成績だった。

 春夏の甲子園に出場した習志野は、注目された中でも圧倒的な力を誇った。強打も印象的で、6試合で計51得点を重ねた。昨年から主力を担う2年生が日替わりで勝負強さを発揮。桜井亨佑らは緊張気味の後輩へ積極的に声を掛けるなど、先輩から学んだ“先輩としての役目”をしっかり果たしていた。

 2019年は習志野が春夏秋の県大会全てで優勝。同一年の3大会を同じチームが制したのは、同校が夏の全国制覇を果たした1975年以来44年ぶりとなった。

◆紅陵、復活へ前進

 拓大紅陵は8月に就任したOBで元千葉ロッテの和田孝志監督が率いた。「僕の時は9人で戦う野球が主流だったかもしれないが今は違う。競争させ成長させたい」と出場選手や打順は毎回変更。高校生が持つ闘争心を引き出し結束させた。

 背番号20の林柊頼は出場の度に大歓声が送られ、代打の切り札として活躍。同校でエースだった兄に憧れ入学したが、何度もけがに苦しんだ。幼なじみの林登生は「あいつの苦しみはみんな知っている。打った時は自分のことのようにうれしかった」と全員で喜びを爆発させた。2004年春以降遠ざかる甲子園に向け絆が深まり、関東大会へ進む。

◆球場でも支援の輪

 大会は台風15号の直撃から間もない時期に始まった。袖ケ浦市営球場では外野客席フェンスの一角が崩れ、電光掲示板は故障。ゼットエーボールパークでも球場付近の木が根こそぎ倒れていた。

 停電や断水など被害を乗り越え大会を迎えた選手や顧問も多かった。山武市にある成東も全員で練習できる機会が少なかったが、団結し初戦を突破した。

 その対戦相手の松戸馬橋からは、「少しでも力になれば」と球場で段ボールに入った飲料水が手渡された。両校は特別な交流があった訳ではないが、山武市の被害を知った松戸馬橋の父母会が準備したものだった。

 成東の二階堂克行部長は「勝ち負けじゃなくて本当に大切なことをわれわれも選手も学ばせてもらった」と感謝する。全力で奮闘した球児たちの姿も、各地で復興後押しの力となったはずだ。


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