解け始めた“タブー” 外国人の観光誘致に躍起 見直される経済効果 【ナリタ30年 地域と空港】

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 「成田空港を語るとき、用地問題が常に原点だった」。空港問題に詳しい県幹部は険しい表情で切り出した。

 成田空港の経済波及効果をめぐる議論は「用地問題を語りづらくしてしまう」などの理由から長い間、タブー視されてきた。こうした背景もあり三十年の歴史で経済効果はまともに測定されてこなかったのが実情だ。

 一方、羽田空港の国際化やアジア圏の他空港の台頭で、成田空港の役割をあらためて示す必要性が増している。地元の成田商工会議所も「対外的に働きかけるためには正確な数字が必要」と、民間シンクタンクなどと連携した調査に意欲的だ。

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 今年一月、成田市など四市五町が「成田国際空港都市づくり推進会議」を発足。「将来について地元主導で考える画期的な組織」(県幹部)と評価され、“前向きな地域づくり”の気運が高まっている。

 空港会社のまとめによると、空港周辺七市町の人口は開港前の一九七〇年から二〇〇六年までで二倍となり、就業者は約三倍、歳入総額は十七倍に膨らんだ。

 一方、県全体では空港の恩恵を引き出し切れていない側面も。特に観光分野では、年間八百万人を超える外国人旅行者のうち二割弱が県内を訪れる半面、そのほとんどは東京ディズニーリゾート(浦安市)などに偏っている。関係者らは、空港を利用する多くの外国人に県内を観光してもらおうと躍起だ。

 県は今秋、約八百万円を投じて「成田国際空港周辺外客誘致フェア」を展開。アジア圏を中心に、期間中の観光客を前年比で三千人増やす計画だ。成田市では昨夏、「観光プロモーション課」を新設。外国語が通じる飲食店などを紹介するガイドブックを五カ国語で作成するなど、「外国人が観光しやすい街づくり」を進めている。

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 外国人旅行者に照準を当てた新しいビジネスも芽生えている。欧米では一般的な一泊三千円前後の、いわゆるバックパッカー向けの安宿が約三年前から相次いで登場。京成成田駅から程近い富里市にある「アズール」のオーナー、山本麻人さん(39)は「知名度を上げて、この地区のゲストハウス(安宿)の老舗的存在になりたい」。観光地として魅力を高めようとする成田空港地域の一角で、若き起業家は「真の国際都市」誕生へ夢を語った。