千葉市、IR誘致せず 台風・豪雨被害の復興優先 熊谷市長、汚職事件は「関係ない」

IRを誘致しない判断を下し、理由を説明する熊谷市長=7日、千葉市役所
IRを誘致しない判断を下し、理由を説明する熊谷市長=7日、千葉市役所

 カジノを含む統合型リゾート(IR)について、千葉市の熊谷俊人市長は7日の定例記者会見で誘致しないと発表した。昨秋に相次いだ台風と豪雨災害からの復興を最優先事項に掲げ、国が来年1月から7月としたIRの認定申請期間までに関係機関と十分な調整を行うのは困難などと判断。熊谷市長は「総合的な観点から検討した結果」と繰り返し、IR参入を巡る汚職事件と市の判断は「関係ない」と強調した。

 熊谷市長は「IR誘致を進めた場合、かなりのエネルギーが取られる。人的資源を注ぐのは災害からの復旧復興。(誘致を)やっていく環境にない」と説明。国が示したスケジュール案は市の想定より短く、千葉県などとの調整や法が定めた手続きに十分な時間が取れないとした上で、「国から示されている今回のスケジュールでIRの誘致は行わない」と結論付けた。

 市は、昨年5月に地元企業からIRの事業提案があったことを受け、幕張新都心の活性化策の一つとして本格的にIRを検討。IRの事業案を募集する「情報提供依頼」を行った結果、海外を含む8事業者が応募し、建設投資額は5千億~7千億円などとされた。

 熊谷市長は「経済効果があるから『やる』という訳ではない。さまざまな要素を踏まえ総合的に判断した」と指摘。幕張新都心の将来的な機能強化に向け、「IRを含めたあらゆる方策を検討していく。IRの研究は進めていく」との考えを示したが「今後、予算や職員を充てない」「次があるかは国次第で、特に考えていない」と述べ、IR誘致を事実上断念したとみられる。

 IR参入を目指す中国企業と国会議員の汚職事件については「あってはならない。私は(事業者側と)私的な交流や接触をしていない」と断言。「予算編成上、1月中が判断のタイムリミットだった。誘致見送りは自身の判断で決めた」と事件の影響を否定した。

 IRを巡っては昨年8月、誘致を目指す地元企業10社が株式会社「MICE IR 千葉」を設立。同社の関係者は「千葉県の経済発展に有効と考えていたが、市の判断なのでやむを得ない。残念」と述べた。

 先月に発足し、誘致反対の要望書を市に提出した市民団体「カジノ問題を考える千葉市民の会」の布施貴良代表(72)は「早急に誘致しない結論を出したことは賢明」と評価した。


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