空港運用に住民の声 話し合い解決の流れ具現 成田空港地域共生委員会 【ナリタ30年 地域と空港】

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 成田空港と住民の共生を目指して十三年間、騒音対策など共生策の進ちょく状況を住民の立場から点検することを主要業務としてきた成田空港地域共生委員会(共生委)。空港のマイナス面を軽減する取り組みをチェックしてきた。

 設立のきっかけは一九九三、四年に行われた成田空港問題円卓会議。現在の委員は十六人。大半が周辺の騒音地域に住む住民だ。国土交通省や空港会社の担当者も、今では会議の構成員となっている。

 共生委の山本雄二郎代表委員(77)は「空港問題を政治や裁判ではなく、話し合いで解決しようとしたシンポジウム・円卓会議の流れを受けた組織。このような例は他の空港になく意義深い」と話す。

 共生委の活動で次第に住民の要望が政策に反映されるようになり、反対運動も沈静化。「以前は、地域は賛成派と反対派で完全に分断され荒廃していたが、やがて中断していた村祭りや盆踊りも戻った」と振り返った。

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 成田空港は反対運動などの影響で現在も未完成。内陸空港ゆえに騒音問題も重くのしかかり、一部にはこれ以上の空港機能強化は困難とする「成田限界論」も。政府部内や経済界、学界で「羽田シフト」の議論がされる中、成田空港周辺の住民も空港とともに地域が地盤沈下するのではないかという危機感を募らせる。

 空港と地域双方の発展のため、共生委もデメリットを減らすと同時にメリットをより多く創出する「『共存共生から共栄へ』を視野に入れるべきではないか」との声が出てきた。現に、地域の中では空港を核とした観光振興や、騒音対策の充実を前提とした空港機能の強化などが盛んに話し合われている。

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 関係者の間では、成田空港の完全民営化を見据えた新たな共生スキームの在り方について二〇〇八年中に結論を出す方針。完全民営化となると株主の意向も考えるあまり、地域との共生がおろそかになるかもしれないとの不安がある。

 共生委をめぐる情勢が変化する中、三月の共生委では、こうした事態にどう対処するか検討に着手した。

 山本氏は「成田の地に空港が存続する限り、共生は永遠の課題。今後も何らかの形で住民の意向を反映する仕組みが必要」として、ポスト共生委の新しい展開に注目する。