「成田に無限の可能性」 成田限界論への反論 国内線交換に地方反発 【ナリタ30年 地域と空港】

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 「都心から遠く、狭く、着陸料も高い。将来、大幅な増便を望めない成田空港が競争力を低下させる」。横浜市の中田宏市長が総合雑誌で発表したこの意見で “成田限界論”に火が付いた。中田市長は今年三月、羽田空港の早期国際化を求め、二〇〇七年度分の羽田空港再拡張事業に対する国への無利子貸し付け約二十四億円の支払い留保を決め、国を揺さぶる。

 東京都の猪瀬直樹副知事も先月二十四日、内閣府での実務者分科会で「新千歳空港(北海道)から成田に行きたい人もいるはずだ」と持論を展開。成田の国際線と羽田の国内線を部分交換し、羽田に三万回以上の国際線発着枠を求めるなど攻勢を強めている。

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 ところが、当の北海道は取材に対し「成田より、羽田の方が需要はある」と反論。福岡県や広島県、沖縄県など各県も「羽田の国内線減は好ましくない」と口をそろえる。

 成田国際空港会社(NAA)によると、成田には国内線の発着枠が二万回あったが需要がなく、〇六年十月から、約七千本を乗り入れ要請の多い国際線に振り替えた。「成田への国内線は国際線への乗り継ぎだけ。国際線ほど本数はいらない」(NAA)からだ。

 国土交通省には「データに基づく説明を」求めつつ、成田の需要を顧みずに羽田の発着枠拡大だけを求める猪瀬副知事の意見に、成田市の小泉一成市長は「単なる数字合わせ。利用者の目的や利便性を無視した話だ。そもそも、羽田で国際線ができないから成田に持ってきた経緯をもう一度考えてほしい」と憤る。

 内閣府の実務者分科会についても、〇八年度の税制改正で東京都の税収三千億円を地方に移譲する見返りとして設置されたが、小泉市長は「あれでは羽田を国際化するため三千億円を出した格好」と“金でゴリ押し”する都のやり方に首をかしげる。

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 東京都や横浜市などの攻勢に「羽田の国際化には必ずしも反対ではない」と有機的連携を提唱してきた堂本暁子知事も「成田貨物化・国内線化という人までいる。われわれは成田限界論に対抗しないといけない」と警戒する。

 羽田国際化拡大を求める東京都などの狙いを物流や海外企業の誘致と見抜きながらも、羽田空港周辺の空き地の少なさを指摘。「千葉にはまだまだ土地がある。工場や物流拠点、学術都市も造れる。成田には無限の可能性がある」と語気を強めた。