新高速で都心と36分 進化する空港アクセス 次の課題は羽田「直結」 【ナリタ30年 地域と空港】

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 「遠い、狭いという問題が一挙にクリアできる」。成田高速鉄道アクセスの川上邦雄常務(59)は、日暮里駅―成田空港間を三十六分でつなぐ成田新高速鉄道の意義を強調する。

 二〇一〇年度春の開業を予定しているが、成田空港の発着枠が拡大する一〇年三月に間に合わせるべく「何とか同時でできる手立てがないか模索している」(川上常務)という。

 東京から約二十キロの羽田と比べ成田は三倍の約六十キロ。しかし「錯覚しがちだが、羽田はモノレールに乗り換えるから意外に遠い」ことも力説する。

 日暮里駅から羽田空港へは最短で約三十七分、時間帯によって四十分以上かかることもある。新高速鉄道は「専用線だから決まったダイヤが組める。(新型特急なら)いつも三十六分」(同)で、東京北東部や埼玉県方面からは羽田より成田の方が早くなる。

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 新高速鉄道は一九七〇年代の成田新幹線構想から度重なる計画変更を経てきた、地元にとって“夢の鉄道”。印旛村は鉄道開通で「村の活性化が進む」と歓迎。地権者との間に入って説明会の調整や要望事項のとりまとめなどに協力してきた。

 ところが、一部の地権者が評価額の六十倍もの売却額を提示し、交渉が暗礁に乗り上げた。「『早く作ってくれ』と地元に背を押してもらった」という同社は四月一日、県収用委員会に土地収用裁決申請という伝家の宝刀を抜いた。

 八八年には空港建設をめぐり、当時の収用委会長が過激派に襲われたという事件もあり、県や同村も口が重いが、これにより工期の遅れは回避できた。堂本暁子知事も「アクセスをいかによくするか」を成田の最重要課題に挙げており、鉄道の早期開業に期待を寄せている。

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 ただ、神奈川県や横浜市からの「遠い」との批判をかわすには「日暮里ではまったく意味がない」との声もある。実際、松沢成文神奈川県知事は成田―羽田間をリニアで直接つなぐ構想を八都県市首脳会議で二度も発表するなど、新高速鉄道に満足してはいない。

 新高速鉄道を都営浅草線に引き込み東京駅に接着させるという構想もあるが、都交通企画課は「まだ調査に入ったばかり。中央区の再開発に併せて行う予定だが、再開発自体の動きがない」と腰は重い。

 堂本知事が訴える「成田と羽田の有機的連携」の実現へ、両空港を乗り換えなしでつなぐアクセス作りが今後の課題となりそうだ。