市川、国内最古の丸木舟 7500年前、魚介類など運搬 雷下遺跡

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発掘された丸木舟。舟底の部分が残り、側面の立ち上がりは欠損している(県教育振興財団提供)

 千葉県は31日、市川市国分の雷下(かみなりした)遺跡から、国内最古となる約7500年前(縄文時代早期)の丸木舟が見つかったと発表した。これまで最古とされてきたのは、島根県松江市で発掘された約7000年前のもの。今回の発見は縄文時代の早い時期から、海で採れた魚介類を運搬する交通手段として丸木舟が使われていたことを示す貴重な資料という。

 県文化財課によると、発掘された丸木舟はムクノキをくりぬいたもので、長さ約7・2メートル、幅約0・5メートル。側面が残っていないが、丸木舟としては大型だという。

 同遺跡の発掘は、東京外郭環状道路(外環道)の建設のため県教育振興財団が2012年11月から行い、丸木舟は昨年11月中旬に見つかった。

 木材の一部を採取し米国の分析会社で年代を測定したほか、一緒に出土した土器の年代から鑑定した結果、約7500年前のものと特定された。

 現在の東京湾から同遺跡までは数キロ離れているが、当時は温暖化により海面が上昇する「縄文海進」が始まったころとされ、遺跡の周辺は干潟が存在するような地形だったとみられる。

 遺跡内には縄文時代早期の貝塚があり、たき火の跡やドングリを貯蔵した穴、土を掘る堀棒とみられる木材も見つかっており、同財団は当時の生活や環境の様子を詳しく調べている。

 縄文時代の丸木舟は全国で約160艘(そう)見つかっているが、今回を含め60艘が県内からの出土。当時の県内は縄文海進で入江が発達したことや、平たんな地形が多く海に出やすかったためとみられる。

 県内のこれまでの最古例は、南房総市の加茂遺跡出土の約5300年前のもので、多古町でも約5000年前のものが出土。市川市での出土は初という。

 出土した丸木舟は慎重に取り上げられ、防腐・保存処理される。県文化財課は「活用方法を考えていきたい」としている。

 同財団は8日午前11時~午後2時に遺跡見学会を開催して丸木舟を公開する。申し込み不要で無料。詳しくは同財団、電話043(424)4850。

◆当時の「前線基地」 千葉大学の岡本東三名誉教授(考古学)の話
 縄文時代人の海の活動の実態が分かる重要な資料。縄文時代の貝塚は台地上にあることが多いが、同遺跡の貝塚は谷の部分の非常に低い場所にあり珍しい。海に近いところに生産拠点を置いた「前線基地」のような場所とみられ、縄文海進の過程を証明する絶好の遺跡。当時の自然環境を復元するさまざまなデータが得られる意味からも、非常に重要な遺跡だと思う。

 ◇雷下遺跡 市川市の国分川西岸の標高約6メートルに広がる低湿地の遺跡。2001年から調査が始まり、これまでに地下4~6メートルの深さに縄文時代早期の遺物を含む包含層や貝層が見つかっている。約7千年前の「縄文海進」で、海が内陸まで入り込んでいた当時の海岸線付近に形成されたとみられる。