コロナ自宅療養者にアビガン 国の指針から逸脱か 健康被害は確認されず いすみ医療センター

自宅療養者にアビガンを処方していたいすみ医療センター=いすみ市
自宅療養者にアビガンを処方していたいすみ医療センター=いすみ市

 いすみ医療センター(いすみ市)で新型コロナウイルス対策のアドバイザーだった男性医師(72)が、自宅療養のコロナ患者約90人に抗ウイルス薬「アビガン」を処方していたことが6日、分かった。厚労省は自宅療養者への処方は認めておらず国の指針から逸脱している可能性があるが、医療関係者は「かかりつけ医が患者を診るなどしており、自宅治療として理にかなったやり方だった」とする。現時点で健康被害は確認されていないという。

 アビガンはコロナ治療薬として承認されていないが、入院患者らへの臨床試験(治験)で投与されている。厚労省はアビガンの使用について「医師の管理下で、確実な服薬管理・残薬管理ができること」とし「自宅療養および療養施設での投薬はできない」としている。

 関係者によると、男性医師がアビガンを処方したのは今年8月14日ごろから9月10日ごろまでの約1カ月間。同市でコロナ感染者が急増した時期で、地域の行政機関や医療関係者によるコロナ対策会議で自宅で過ごす患者へのアビガン処方が決まった。医療センターの伴俊明病院長は「市内に患者があふれていた。(処方は)一時的なものだった」と話す。

 男性医師は入院患者へアビガンを投与してウイルス量が減ったことを確認。効果があったとして、重症化予防のため軽症患者へ処方したとみられる。感染が一段落したとして、男性医師は11月末でアドバイザーを辞めている。

 男性医師は取材に「当時は医療逼迫(ひっぱく)状態で、通常は入院できるはずの患者が自宅療養になり、何もしないわけにはいかなかった。厚労省に事前に相談しておらず、反省している」と述べた。

 対策会議に参加していた保健所長は「男性医師やかかりつけ医が患者の自宅を訪問していた。保健所も1日1回は電話で容体を確認しており、患者をほったらかしにしていない」と、患者の自宅で治療をしていたとの認識を示す。病院管理者の太田洋市長は「アビガンがどのようなものかは分からず、治療は医師に任せていた」と話した。

 県医療整備課は11月25日に国から情報提供を受けて医療センターに事実確認を行い「国と連携して対応していく」。医療センターは7日に伴病院長が記者会見して経緯を説明する。


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