対策の方向性示して ゴール見えず給付金頼り コロナ禍のエンタメ業界 ライブハウス「千葉LOOK」店長 サイトウヒロシさん(58)=千葉市中央区 【2021衆院選わたしの争点】(1)

「うまいことやっていくしかない」と嘆くサイトウヒロシ店長=千葉市中央区の千葉LOOK
「うまいことやっていくしかない」と嘆くサイトウヒロシ店長=千葉市中央区の千葉LOOK

 千葉の音楽シーンを盛り上げてきたライブハウス「千葉LOOK(ルック)」(千葉市中央区)。全国区になる前の「BUMP OF CHICKEN」や「氣志團」はここからスターへの階段を駆け上がった。そんな地元バンドの登竜門が今、コロナの波にのまれ、開業32年目で過去一番の苦境に立たされている。「ゼロコロナはない。うまいことやっていくしかない」。先の見えないコロナ禍の中でも営業を継続しようと奮闘する。

 昨年4月、休業要請を受け予定していた全62組が公演を見合わせた。要請は同6月18日まで続き、カレンダーはキャンセルの赤字で埋め尽くされた。

 営業を再開したのは同6月21日。出演予約は通常半年~1年前に始まり、出演者の都合もあるためすぐにライブができるとは思っていなかったが、名乗り出るアーティストが現れた。「客が(音楽)シーンを守ろうとしている」と実感した。

 徐々に公演数を増やし、現在はコロナ前の3分の2になったが、売り上げはいまだ3分の1。密を避けるため、観客の収容人数を定員の200人から80人に減らしたことが痛手だ。客から寄付の申し出もあったが、「アーティストが出演し、客が来てくれる。これ以上は望めない」。負い目を感じ断った。

 感染対策は入念に行う。受付に不織布マスクを設置し、観客の立ち位置を指定。出演者1人1台マイクを用意し、入れ替えごとに機材を消毒する。「落ち度がないつもりでやっている」と真剣な表情で語る。

 出演者のうち1人でも不安を抱えていれば公演は開催しないが、「しない」前提ではなく、行う方向でまずは話を進める。「コロナだからやめるのではなく、その時にできる人が、できるやり方でやればよい」。感染に細心の注意を払いながら、できることを少しずつ、手探りで試していくしかない。

 そのために政府には「何をしたら安全で、何をしたらどうなるのかを明確にして」と要望する。菅政権はこうした情報発信が不十分で「知りたいところにふたをされていた」と感じていた。

 夏の感染爆発は落ち着き、感染者数は目に見えて減少した。だが、昨春に延期したライブをいまだに行えていないバンドがある。いつまで続くか分からない給付金が命綱で「なくなったら地獄が待っている」。“終息”のゴールが見えない。

 「どの段階で終息と言えるのか。落としどころをどうするのか」。コロナ対策の方向性とゴールを明確に示してくれる政治を願う。

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 4年ぶりの政権選択選挙。コロナ禍に苦しむ娯楽や飲食業、医療現場の人々や若者はどんな思いで1票を託すのか。それぞれの争点を聞いた。


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