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新型コロナウイルス情報

切り札GoTo広がる動揺 旅館クラスターの勝浦 復興不可欠も感染不安

従業員のクラスターが発生した旅館=26日、勝浦市
従業員のクラスターが発生した旅館=26日、勝浦市

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」に登録していた勝浦市内の旅館で従業員の新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した問題で、市内に危機感が広がっている。昨秋の台風被害、中国・武漢の帰国者受け入れによる風評被害からの復興に向け「GoTo」への期待は大きかっただけに失望も大きい。関係者は「感染防止と経済活性化の両立に全力を尽くす」と前を向くが、一方で終わりの見えぬウイルスとの闘いに不安は隠せない。

(勝浦支局・廣田和広)

 「帰国者を受け入れ、全国の自治体でいち早く感染防止対策に取り組んだ。市民の危機意識も高い。その中でクラスターが発生したのは驚き」

 市幹部は、千葉県からクラスター発生の一報を聞いた心境を打ち明ける。

 市は帰国者の受け入れ後から市民にマスクや消毒液を配り、医師による説明会を開くなど感染防止に向けて地道に取り組んできた。

 「国難を救った漁師町」のイメージは一方で風評被害も招いた。昨秋襲来した台風被害からの復興途中でもあったが、落ち込んだ観光業の回復に期待されていた「かつうらビッグひな祭り」は開幕直前に中止を決断。一年で最もにぎわう海水浴場も悩んだ末に開設を断念した。市幹部は「感染者を出さないという一念で取り組んできた」と自負する。

 コロナの収束が見えず「なぜこの時期に『GoTo』なのか。経済振興と感染防止の両立はできるのか」(市幹部)と疑問もあったが、一方で期待も小さくなかった。今回はその不安が的中してしまった形で「対策を徹底しても感染者が出てしまう」(同)とウイルスを完全に封じ込める難しさを嘆く。

 それでも「GoTo」に期待せざるを得ないのが現状だ。都市部への通勤が難しい同市内では観光業は飲食や物産、設備投資など地域経済への波及効果は大きく、重要な産業に変わりない。「市民の生活と健康を守り、商工業の活性化を図る。両立させるため改めて感染防止策を徹底する」(同)と力を込める。

 市観光協会も、事業者が外出自粛の影響で疲弊していることから「市民に不安はあると思うが、『GoTo』はやらざるを得ない」と理解を求める。帰国者受け入れ以降、感染防止対策を推進してきた結果、昨夏以上の観光客が訪れている地区もある。

 「勝浦は夏が一番の稼ぎ時。観光客が来ないと低迷が続く」と窮状を訴え、「万全を尽くして観光客を呼び込む努力をしたい」と気を引き締める。

◇勝浦市の旅館クラスター 同市の「緑水亭 勝浦別館 翠海」で25日までに従業員7人の新型コロナウイルス感染が確認された。感染した従業員は10~60代で、フロントでの受け付けや清掃業務を担当。県は勤務状況から今月14日から21日までの宿泊客延べ約360人を対象に体調などの確認を進める。同館では業界が定めたガイドラインに従い、宿泊者ごとに食事場所を分けるなどの感染対策をしていたという。同館は、政府の観光支援事業「Go To トラベル」に登録。9月末までの臨時休業を決めている。


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