木更津女児死傷初公判 「二度と孫に会えない」 悲劇から半年 苦しい胸中

安藤音織さんら小学生女児2人が事故に遭った横断歩道前には花の置物が供えられていた=18日午前、木更津市江川
安藤音織さんら小学生女児2人が事故に遭った横断歩道前には花の置物が供えられていた=18日午前、木更津市江川

 木更津市で登校中の小学3年の女児2人が車にはねられ死傷した事故。発生からおよそ半年がたった18日に開かれた初公判には、遺族も傍聴に訪れ、亡くなった安藤音織(ねおり)さん=当時(8)=の祖父、楠田峰雄さん(69)=同市=は閉廷後、「にぎやかだった音織がいなくなって家族みんなが落ち込んでしまった。裁判で厳罰になったとしても、もう二度と会えない」と苦しい胸の内を明かした。

 音織さんは楠田さんの次男夫婦の次女。5歳差の姉がおり、夫婦が待ち望んだ「二人目」だった。音織さんは楠田さん宅を頻繁に訪れていたといい、楠田さんはわが子のようにかわいがってきた。写真を何千枚も撮りため、今でもアルバムをめくると涙があふれる。

 絵を描くことが好きだった音織さんは、学校での思い出を絵にして家族に説明してくれた。「友達から『絵が上手だね』と言われた」とうれしそうにする笑顔が忘れられない。

 活発な一面もあった。部屋でも走り回るほど元気で、楠田さんは時々「危ないよ」と叱った。音織さんは反省したように静かになるが、すぐにはしゃいで楠田さんを困らせたが「無邪気で本当にかわいかった」。

 事故は4月23日に発生。音織さんの両親は、今も立ち直れずにいるという。母親は元々物静かだったがほとんど話さなくなり、家に引きこもりがちになった。感情を失ったようで、涙を流すこともなかったという。父親は写真を見て「かわいそうに。かわいそうに」と何度も泣き崩れた。

 事故が起きた横断歩道は、数百メートル以上続く直線道路上にある。事故後、児童が通ることを示す標識が設置されたが、楠田さんは「いまだに多くの車が飛ばしているし、黄色や赤信号でも止まらない車もいる」と訴える。

 裁判で検察側が示した証拠では、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた高山登被告(49)が以前、運転免許を失効していたことが明らかになった。楠田さんは「お構いなしに免許を取り直していて悪質だ」と憤る。

 初公判の傍聴席に両親の姿はなかったが、検察官によって父親の供述調書が読み上げられた。「(遺体は)笑みを浮かべているようで亡くなっていると信じられなかった。ひき殺された怒りよりも、悲しみが勝っている」


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