寝たきり長女と水に3時間 救助に感謝「強く生きて」 茂原 【房総豪雨】

福祉施設に身を寄せている長女を迎えるための準備をする女性=1日午前10時42分、茂原市早野
福祉施設に身を寄せている長女を迎えるための準備をする女性=1日午前10時42分、茂原市早野

 記録的な豪雨で大規模な浸水被害が出た茂原市。早野地区の女性(71)は10月25日夜、アパート1階の部屋で、障害があり寝たきりの長女(48)と水に漬かったまま救助を待っていた。茶色く濁った水の中で「娘のことしか考えていなかった」という女性は、災害を乗り越えた長女が「これからも強く生きてほしい」と願っている。

 長女は20代の時に遭った交通事故の影響もあり、下半身が動かず自力では歩行できない。4年前に自宅近くに借りたアパートで、女性は長女の面倒をみてきた。

 10月25日は正午すぎから雨脚が強まり、午後2時ごろにはアパート前の道路が冠水。水かさはさらに上がり、玄関内にも水が入り込んできた。「午後6時すぎには室内に一気に水が流れ込んできた」といい、身長約155センチの女性の腰のあたりまで水が迫った。

 長女は介護用ベッドで横になっていたが、押し寄せた濁流で腰から下が水に漬かり、上半身を起こして救助を待った。ただ、アパート周辺の道路は完全に水没し、車両は近づくことができなかった。近くに住む自営業の男性(79)は「一番高い時で水は1メートル50センチほどに達していた。70年以上ここに住んでいるが、こんなに水が出たのは初めて」と振り返る。

 女性と長女は「3時間以上は水に漬かったままの状態」が続いたといい、2人は夜になり助け出された。救助してくれたのが消防隊員か自衛隊員かも分からないが、女性は「ボートで冠水していない近くの交差点まで連れて行ってもらった。本当に感謝している」と安堵(あんど)の表情を浮かべる。

 2人は近くの避難所で一夜を過ごした後、長女は睦沢町内の福祉施設に移動。長時間、水に漬かっていたにもかかわらず、深刻な体調不良などは確認されなかったという。女性は26日にアパートに戻り、他の子どもたちに手伝ってもらいながら後片付けをしてきた。

 豪雨発生から1週間となった1日夕、長女が施設からアパートに戻ってきた。冷蔵庫や洗濯機といった家財道具は廃棄し、元の生活に戻るには、まだ時間がかかるかもしれない。それでも女性は「とにかく無事で良かった。いちからやり直すしかない」と前を向き、長女には「厳しい体験だったが、何とか乗り越えて頑張って生きてもらいたい」と思っている。


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