夏山登山技量見極めて 千葉県内 低標高でも注意を 今季、道に迷い4人遭難

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 夏山シーズン真っ盛りだ。中高年を中心に登山ブームが続いているが、遭難件数も高水準で推移しており、自分の技量や健康状態を正しく把握し、十分な装備を整える必要がある。本県でも今夏、道に迷い遭難する事案が発生しており、県内の登山事情に詳しい専門家は「(千葉の山を)標高が低いからといって甘く見てはいけない」と注意を呼び掛けている。

 警察庁などによると、昨夏(7~8月)は千葉県の70代男性1人を含む793人が山で遭難した。8割近くが40代以上。54人が死亡し、17人が行方不明になった。内容は道迷いが最も多い179人。これに転倒169人、病気120人、滑落119人、疲労93人が続く。

 千葉県警地域課の集計では、今年は7月から8月中旬までに、千葉県内で既に3件、4人の遭難が確認されている。いずれも道迷いで、死者は出ていないという。ただ、夏山に限らず年間を通じて県内の山で登山を楽しむ愛好家は多く、秋の行楽シーズンに向けても注意が必要だ。2017年3月には、富津市と鋸南町にまたがる鋸山などで死亡事故も発生している。

 日本山岳会千葉支部の前支部長、三木雄三さんは「房総の山は標高が低く、見晴らしがよくない上、地形が複雑」と説明。道に迷うことが多く「自分の位置を把握するために地図などを準備し、経験者と一緒に行動することが大切」と呼び掛けている。

 「レジャーや観光の延長で、山や自然の知識や準備が足りないまま山に登る人が増えている」と話すのは日本山岳ガイド協会(東京)で理事長を務める磯野剛太さん。登山は低い山でも体力を消耗するため、自分の経験や技量を考え、無理のない登山計画を立てることが重要という。健康に不安があるなら、事前に医師に相談すべきだ。

 豪雨から身を守り、脱水症状や熱中症対策を講じるには天候の見極めが欠かせない。「喉が渇いた」と思ったら脱水症状が始まっている証拠。汗には水分だけでなく、ミネラルも含まれている。体はミネラルの濃度を維持しようとするため、水を飲めば飲むほど汗になって噴き出す。熱中症を防ぐためにもスポーツドリンクや経口補水液を持参しよう。

 山の天気は変わりやすい。雨に当たると体が冷え、体力が損なわれる。天気が崩れる兆しがあれば無理をせずに引き返そう。急激な雨は鉄砲水を発生させる恐れがある。雨が遠くで降った場合、時間がたってから沢が増水することもある。活火山に登るなら気象庁が公表している噴火警戒レベルにも注意が必要となる。

 日本山岳ガイド協会では登山中の危険などをまとめた「安全登山ハンドブック」をホームページで公開している。磯野さんは「普段から自然に対する感性を高く持ち、安全な登山で、都会ではできない体験を楽しんでほしい」と話している。