密漁者からハマグリ守れ 警備会社と連携 九十九里漁協 【地方発ワイド】

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ALSOKの警備員が2人一組で海岸を巡回し、貝類の密漁防止を呼び掛けている=九十九里町
ALSOKの警備員が2人一組で海岸を巡回し、貝類の密漁防止を呼び掛けている=九十九里町

 九十九里浜の特産品、ハマグリやナガラミなどの貝類を密漁者から守ろうと、新たな取り組みが始まっている。漁業権を持つ九十九里町の九十九里漁業協同組合(小栗山喜一郎組合長)が、新たに警備会社の「綜合警備保障」(ALSOK)にパトロールを依頼。制服姿の警備員が漁場の砂浜を巡回して、密漁者に厳しく目を光らせている。漁業資源の監視に警備会社のサービスを導入するのは全国的にも珍しいケースだ。密漁に悩む貝漁師たちの生活を守る“切り札”になるか-。

(東金支局・堀井研作)

 同漁協は横芝光町から一宮町までの海岸線全域に漁業権を設定。一般の人が許可なく貝を採ることは本来できないはずだが、干潮時や夜間など密漁しやすい時間帯によって漁場の砂浜に不審者の姿が見られるという。密漁者が摘発されるケースもあるというが、小栗山組合長は「摘発は氷山の一角。中には漁師が使う本格的な漁具で一度に数キロを持ち去る悪質な事例もある」と表情を曇らせる。

◆死活問題

 貝類はイワシなどの魚類と並び同漁協の収入の大きな柱だ。年間水揚げ量は約800トン、取扱高に換算すると8億円相当になり、400人余りの貝漁師の生活を支えている。

 定期的に稚貝と母貝を放流したり、独自に休漁期を設けたりして限りある資源を大切に守ってきた漁師らにとって、密漁の横行は死活問題。近隣漁協と自警団を組織したりして監視に取り組んできたが、本業の傍らで数十キロに及ぶ長い海岸線をパトロールするのは容易ではなかった。

◆軽トラで海岸巡回

 そこで5月から、漁港施設の警備を発注していたALSOKの成田支社に砂浜の監視も依頼。2人一組の警備員が注意を促すアナウンスをしながら軽トラックで海岸線を巡回し、貝を拾い集めている人などに注意を促す。警察への通報が必要な場合に備えて、胸に取り付けた小型カメラで証拠映像も残せるようにして万全を期す。

 小栗山組合長は「警備員が制服姿で巡回してくれるだけで大きな抑止力になる。自分たちで声を掛けるよりも効果的なのでは」と期待を寄せる。

 同支社は今後、ドローンの導入なども視野に警備効果のさらなる向上を狙う。加藤栄徳支社長は「ハマグリは自然に生息しているように見えるが、実際は漁業者の手で大切に守られてきた。警備活動を通じ啓発していきたい」と密漁防止への協力を誓った。