「あまりにひどい判決」 国免責に怒りと失望 原告「千葉では無理か」 【原発訴訟第2陣】

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判決後の心境を語る菅野さん(左)と滝沢事務局長=14日午後、千葉市中央区
判決後の心境を語る菅野さん(左)と滝沢事務局長=14日午後、千葉市中央区
横断幕を掲げて千葉地裁前を行進する原発避難者訴訟の原告ら=14日午後0時57分、千葉市中央区
横断幕を掲げて千葉地裁前を行進する原発避難者訴訟の原告ら=14日午後0時57分、千葉市中央区

 国の責任を再び認めなかった。東京電力福島第1原発事故による避難者が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の千葉第2陣で、千葉地裁は14日、第1陣(2017年9月)に続き東電にだけ賠償責任を認めた。第1陣以降、全国で国の責任を認める判決が続いていた。「あまりにひどい」「がっかりだ」。司法判断の方向性に逆行するような判決として、原告側からは怒りや憤り、失望の声が次々と上がった。

 「何を言ってるんだ」「人の命が優先だろう」。判決言い渡しのさなか、傍聴席から怒号が飛んだ。地裁前で弁護団が「不当判決」などと記した旗を掲げると、原告関係者の間に落胆が広がった。

 原告の一人、菅野貴浩さん(56)=野田市=は「これまで各地で良い判決が続いており、期待していただけに残念。千葉では無理なのか…」。判決後の報告集会で言葉を詰まらせた。

 原発事故から8カ月後、家族5人で野田市に避難した菅野さん。妻は長期間仕事を失い、小学生だった次女は学校生活になじむのに時間がかかった。訴訟は家族全員が原告になったが、当時未成年だった子ども2人の賠償は棄却された。今までの避難生活が思い返され、自然と涙があふれてきた。

 「関東で使う電気のために原発を造ったのに、事故が起きても責任を負わない国はおかしい」。やり場のない怒りをかみしめた。

 原告の40代女性は、緊急時避難準備区域から家族4人で避難してきた。「福島に帰れ」。子どもが転校先の学校で心ない言葉を浴びることもあった。元の家に帰りたいと何度も懇願され、その度に心が痛んだ。

 賠償も必要だが、避難は正しかったと訴えるため原告になった。福島県での平穏な生活が奪われた「ふるさと喪失」が否定され、「ふるさとを失った痛みが過小評価された」と、悔しさをにじませた。

 友人の勧めで千葉市に移り住んだ原告団代表の羽田典子さん(63)は、3人の子どもも避難を望んだが、独立していた2人はマイホーム購入直後だったため断念。「家族が離れてしまったこの8年間は何だったのか。控訴したいが疲れてしまった」。判決に徒労感を味わった。

 第1陣訴訟の原告も駆け付けていた。福島・浪江町から鎌ケ谷市に避難した瀬尾誠さん(66)は「避難者は原発事故の被害者。東電に(安全対策を)指示しなかった国の責任はどうなるのか」と判決を批判した。

 原告側弁護団の滝沢信事務局長は「あまりにひどい判決。がく然とした。個人的には控訴せざるを得ない」と悔しさをにじませた。

◆極めて遺憾

 原告側弁護団の声明 原発事故に対する国の責任を否定するもので、極めて遺憾だ。半数以上の原告の請求を棄却しており、到底承服できない。避難区域によって分断するような指針を改め、立法を含めた実効ある賠償の枠組みの構築に早急に着手することを強く求める。

◆引き続き適切な規制

 原子力規制庁のコメント 国の責任はないとの主張が認められたと聞いている。いずれにしても原子力規制庁としては、引き続き適切な規制を行っていきたい。

◆内容精査し対応検討

 東京電力ホールディングスのコメント 原発事故により、福島県民の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をお掛けしていることを改めて心からおわび申し上げる。千葉地裁で言い渡された判決については、内容を精査し、対応を検討していく。