未来へつなぐ 「あの日」 旭市立第二中学校2年・田村沙季さん 【3・11大震災ちば8年】

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「あの日」と題した作文を読み上げた田村沙季さん=10日、旭市の県立東部図書館3階会議室
「あの日」と題した作文を読み上げた田村沙季さん=10日、旭市の県立東部図書館3階会議室

 海には、たくさんの顔がある。(中略)
 見る者を、元気にさせる海。(中略)
 そこに居る者を、悲しみの波で覆う海。(中略)
 私は、この、すべての海を見てきた。

 「読み書き歌い語り継ぐ集い」では、旭市で生まれ育った同市立第二中学校2年、田村沙季さん(14)が「あの日」と題した作文を読み上げた。

 震災当時、銚子市内の保育園にいた田村さん。家族に迎えに来てもらい、車で旭市の自宅に帰る途中、飯岡地区で津波を目撃した。「黒ずんだ海の水が迫ってきた。怖かった」-。

 幼い頃、地元の海では波に戯れ、貝を拾っていた。楽しい記憶ばかりだった海が震災で牙をむき、海への認識も大きく変わった。

 1年後、田村さんは家族の車で、飯岡地区の海沿いの地域を通り掛かった。車から恐る恐るのぞいた海は穏やかな表情
をしていた。

「何だか怖い」といった曖昧だった認識が、成長するに従って「もしあの時、波にのまれていたらどうなっていたのか」と、はっきりとした恐怖に変わった。一方、「震災当時の記憶は私でも曖昧なくらい。下の世代は分からないかもしれない。だからこそ、震災を未来に継承していきたい」との思いから、語り継ぐことに主眼を置いた文芸賞に作品を出した。

私は、ようやく、あの日の海を、
 不安や恐怖から、解き放たれ、
 語れるようになった。
 語っていきたい。
 未来に生きる私と、人々のために……。

 市民賞の受賞者の一人に選ばれた田村さん。「自分には大きいことはできないかもしれないけれど、これからも発信していきたい」-。未来に生きる人々に、思いをはせた。