暴行と死亡に因果関係 慎重姿勢も立件判断 野田小4女児死亡

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 野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅浴室で亡くなり、千葉県警が傷害容疑で逮捕した父親の勇一郎容疑者(41)について、千葉地検は6日、直前の暴行と死亡との因果関係を問えると判断し、傷害致死罪での起訴に踏み切った。ただ、捜査関係者の間でも「致死での立件」に慎重な姿勢もあったとされ、勾留期限ぎりぎりでの判断だったことをうかがわせる。

 勇一郎被告が傷害容疑で起訴されたのは、1月下旬に自宅マンションで心愛さんに冷水シャワーを掛けるなどしてけがを負わせ、最初に逮捕された事件。県警は年末年始にも暴行し胸の骨を折るなどのけがを負わせた疑いで再逮捕した。

 捜査関係者によると、心愛さんは昨年末から死亡までの約1カ月間、自宅から外出できない状態だったという。押収した勇一郎被告のスマートフォンからは複数の動画や画像が見つかった。2018年末~19年初めに撮影されたものもあり、心愛さんが立たされた姿や体のあざのような痕が写っていた。県警は日常的な虐待の可能性を視野に調べていた。

 心愛さんへの暴行と死亡の因果関係について、事件当初から「傷害致死にもっていきたい」と話す捜査幹部も。一方で、傷害致死容疑の適用には、司法解剖を経ても死因が不明だったことが課題として立ちはだかっていた。勾留期限が迫る中、別の捜査幹部は「ここ1週間で何回も方針が変わっている」と表情は険しく、難しい判断と向き合っていたことをうかがわせた。

 ただ、事件直前に心愛さんは食事を与えられず「飢餓状態」に陥っていた上、睡眠も許されずに衰弱していた可能性が浮上。当初は不明とされていた死因も、暴行などによる強度のストレス状態で亡くなった可能性が高いと判断し、「致死」での起訴に至ったとみられる。殺人罪の適用については、ある捜査幹部は「一般論として『しつけ』と話している以上、殺意を認めるのは難しい」と見通した。

 県警は1月下旬と年末年始の傷害容疑の共犯として、母親のなぎさ容疑者(32)を逮捕。今回、暴行には直接加わっていないとされ「積極的関与ではない」(捜査関係者)として、傷害ほう助の罪で起訴。年末年始の容疑については不起訴となった。

 勇一郎被告が傷害致死罪で起訴されたことで、事件は裁判員裁判の対象となる。心愛さんの死を巡っては国や県、野田市でも検証や再発防止の委員会が立ち上がっている。

◇野田小4女児死亡事件 野田市立小4年の栗原心愛さん(10)が1月24日、自宅浴室で死亡し、県警が傷害容疑で両親を逮捕した事件。2017年11月6日、学校のいじめアンケートで「父からの暴力」を訴え、県柏児童相談所が翌7日から12月27日に一時保護した。市教育委員会が回答のコピーを父に渡していたことが事件後に発覚した。柏児相の保護解除や親族宅からの帰宅を認めた判断も問題視され、国や各自治体が検証。虐待根絶のための関連法改正が検討されている。