<野田小4女児死亡>両親の横顔 弱い者いじめない父 「寡黙な」母娘守れず

 弱い者いじめはしない-。死亡した野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)の父親の勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で再逮捕=は地元でそう思われてきた。憧れの地だった沖縄で、「おとなしい性格だった」という母親のなぎさ容疑者(32)=同容疑で逮捕=と出会い、2人の子どもをもうけた。一見、幸せそうな家族の生活はどこできしみ始めたのか。

 勇一郎容疑者は野田市で育ち、心愛さんが事件当時に通っていた市立小を卒業した。「妹をいじめるな」。幼い頃、下級生の男の子をしかりつけた姿を同級生の男性は覚えている。「妹思いで、弱い者いじめはしない。暴力を振るう姿なんて見たことがない」と事件のギャップに驚く。

 飛行機の整備士をしていた父親と同様に航空関係の仕事を志望。高校で英語科に進学したのも「パイロットになるために必要と思っていたのだろう」と同級生は話す。

 大学卒業の後、小学生の頃から家族旅行で訪れ、憧れていたという沖縄に定住し、職を転々。那覇市の旅行関連会社で一緒に働いていたなぎさ容疑者と結婚した。

 なぎさ容疑者は沖縄県糸満市に実家がある。知人は「きょうだいが多く、仲の良い家族だった」と振り返る。中学はバドミントン部に所属し、中高時代の同級生たちは「おとなしく目立たない子だった」と口をそろえる。

 2人は心愛さんが生まれた後に1度離婚したが、再婚して2017年に妹(1)が生まれた。その後、家族のトラブルが表に出始める。

 同年7月7日午前、勇一郎容疑者は「母方の祖父母が娘を引き取って返してくれない」と児童相談所に電話。児相はその日の午後に来所を促したが、勇一郎容疑者は現れなかった。一方、母方の親族は同月、市役所を訪れ、勇一郎容疑者について「妻の行動監視をしている」、心愛さんを「どう喝している」と相談した。

 市が調査に乗り出した直後、一家は野田市に転居。その1年半後、心愛さんは亡くなった。直前まで虐待が続いていた。

 なぜ事件は起きたのか。勇一郎容疑者の同級生は野田市への転居前に会い、経済的に不安があるような話をしているのを聞いた。「もしかしたら事件の遠因だったのかも」と今は思う。

 そしてなぎさ容疑者。中学の同級生の女性は「夫の暴力に何も言えないままだったのではないか」と考える。別の同級生の女性は「何か助けてあげられなかったのか」と唇をかんだが、一方で「娘さんが亡くなったのは事実。一生向き合って、供養し続けてほしい」ときっぱりと口にした。


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