<野田小4女児死亡>逮捕の父、職場では別の顔 穏やか、怒るところ見せず

 心愛さんが死亡した事件で、父親の勇一郎容疑者は、市教育委員会や児童相談所に威圧的な態度で要求を通そうとし、市教委の担当者は恐怖感から心愛さんの学校アンケート回答のコピーを渡していた。だが、勤務先の上司は勇一郎容疑者について「穏やかで、怒るところを見たことがない」と語る。子どものこともかわいがっている様子で、家族を大切にしているとみられていた。

 勇一郎容疑者は、母親のなぎさ容疑者(31)=傷害容疑で逮捕=の実家がある沖縄県糸満市で2017年まで家族と生活。沖縄の観光振興団体で働き、野田市への転居後、同じ団体の東京事務所に採用された。イベント運営や接客を担当。礼儀正しく、熱心に仕事に取り組んでいた。

 乱暴なそぶりはもちろん、声を荒らげるところも見せたことがなく「人に何かを強く言うことすらなかった」と上司は証言する。

 よくしゃべる方ではなかったが、子どものことが話題に上る場面も。勇一郎容疑者は妹がいる心愛さんを「上のお姉ちゃん」と呼び、学校行事に参加した話をしたり、クリスマスを前に「自転車を買ってあげる」とうれしそうに語ったりした。

 一方、心愛さんが父からの暴力をアンケートで訴えた小学校や市教委、一時保護した児相にとって、勇一郎容疑者はこわもての保護者と映った。

 県柏児童相談所による一時保護後の2018年1月12日、学校との面談で勇一郎容疑者は「親族一同、憤慨している。訴訟を起こす用意がある」としてアンケート回答のコピーを要求。15日には心愛さんの「同意書」を見せて市教委に迫り、担当課長は恐怖感に屈してコピーを渡した。

 さらに2月26日、今度は児相に対し、心愛さんに書かせた「お父さんにたたかれたというのはうそ」との書面を示して心愛さんの帰宅を要求。「これ以上家庭を引っかき回すなら、職員個人を名誉毀損(きそん)で訴えることも検討している」と発言したとされる。

 上司は「報道に接して驚いたが、今思えば非の打ちどころがなさすぎた。私たちの前では、そういう姿を見せないようにしていたのか」と語った。


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