「たたかれたのはうそ」 逮捕の父、書かせたか 野田女児死亡、児相確認せず

記者会見する千葉県柏児童相談所の二瓶一嗣所長(右)ら=5日午後、県庁
記者会見する千葉県柏児童相談所の二瓶一嗣所長(右)ら=5日午後、県庁

 野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡した事件で、千葉県柏児童相談所が心愛さんの一時保護を解除した後、「お父さんにたたかれたのはうそ」と心愛さんが書いたとする書面を、父親の勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=が児相へ提示していたことが5日、県への取材で分かった。心愛さんは後日、児相職員に「父に書かされた」と話したが、児相は書面を提示された際に書かされたものと認識しながら心愛さんに確認せず、親族の家から自宅に戻す決定をしていた。県と児相は5日、記者会見して経緯を説明した。

 児相は2017年11月7日に心愛さんを一時保護。同12月27日、市や親族らのサポートの見込みがついたため保護を解除し、心愛さんは親族宅で暮らすようになった。県によると、状況確認のため児相職員が18年2月26日、親族宅で勇一郎容疑者と面会した際に、心愛さんが書いたとする書面を提示された。

 面会に心愛さんは同席しておらず、児相は心愛さんに自分の意思で書いたのかを確認せずに同28日、自宅に戻す決定をした。

 書面には「お父さんにたたかれたのはうそです」「お父さん、お母さん、妹、(親族)にたくさんの迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい」「児童相談所の人にはもう会いたくないのでこないで下さい。会うと嫌な気分になる」などと、心愛さんの署名とともに手書きで書かれていた。

 心愛さんが自宅に戻った後の3月19日、学校で児相職員が聞き取りしたところ、心愛さんが「書くように言われた」と打ち明けた。勇一郎容疑者が考えた書面の下書きを母親のなぎさ容疑者(31)=傷害容疑で逮捕=にメールで送り、心愛さんはメールを見ながら書かされたという。

 ただ、心愛さんは「お父さん、お母さんと早く会いたい、一緒に暮らしたいと思っていたのは本当のこと」と話したという。

 県は「書かされた可能性があると思っていた」とする一方で、「新たに一時保護するほどの決定には至らなかった」とした。児相は一時保護解除後、一度も家庭訪問をしていなかった。

 県や児相は先月28日の記者会見で書面を明らかにしておらず、理由を「個人情報の観点から」と説明した。

 心愛さんは17年11月6日、学校のアンケートに「お父さんにぼう力を受けています」と回答。児相は翌7日に一時保護した。勇一郎容疑者は保護解除後の18年1月、学校や野田市教育委員会にアンケート回答のコピーを要求。拒否されると、市教委に心愛さんの「同意書」を持参して迫り、市教委が回答のコピーを渡していた。

◆自民の虐待委、来週合同会議

 野田市の小4女児死亡事件を受け、自民党の「虐待等に関する特命委員会」の馳浩委員長は5日、来週にも同委員会と文部科学部会の合同会議を開き、教育委員会関係者から事実関係を聞き取りたいとの考えを明らかにした。

 事件では、亡くなった栗原心愛さんが父親からの暴力を訴えた学校アンケートの回答を、市教委が父親に渡しており、文科省は不適切だったと指導している。

 馳氏によると、野田市教委か県教委の関係者を呼んで説明を求めたい考え。教委と児童相談所など行政の福祉部署との連携に課題がなかったかどうかなどを検証するという。


  • LINEで送る