文科省、野田市教委を指導 厚労省も児相調査へ 野田小4女児死亡

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行政指導を終え会見に応じる文科省の松木生徒指導室長=1日午後、野田市役所
行政指導を終え会見に応じる文科省の松木生徒指導室長=1日午後、野田市役所

 野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡した事件で、文部科学省の職員が1日、野田市役所を訪れ、市教育委員会が心愛さんのアンケート回答のコピーを父親の勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=へ渡した対応が「虐待のリスクを高める危険な行為。極めて不適切」だと指摘し、事件の検証に全面的に協力するよう口頭で行政指導した。厚生労働省が近く心愛さんを一時保護していた県柏児童相談所に対して聞き取り調査を行う方針。

 文科省の職員は午後2時、市役所を訪問。市教委学校教育部長、同部指導課の担当職員と非公開で面談を行い、事件の経過や対応について、約1時間にわたり聞き取りを実施した。県教委や東葛飾教育事務所の職員も同席した。

 聞き取り終了後、文科省児童生徒課の松木秀彰生徒指導室長は報道陣の取材に応じ、来市の目的は「(事件の)事実確認」と説明。その中で、回答のコピーを渡した経緯や背景の聴取を重要視したとして、「(回答に)子どもの訴えが書かれており、それを加害者に渡す行為は許されることではない」と指摘した。

 さらに、市教委が一度は回答の提供を断っている点を踏まえ、「違法の認識がありつつ(回答を)出している。児相に相談していれば、出すことはなかったと思う」と見解を述べた。

 また、脆弱(ぜいじゃく)な組織体制の改善も要求。「なぜ連携できなかったのかという点について総点検が必要」として、千葉県の第三者委員会などによる検証に全面協力するよう求めたほか、子どもの心のケアに最善を尽くすよう、併せて要望した。

 聞き取りに応じた市教委の長妻美孝・学校教育部長は「大事なお子様の命を失ったことは痛恨の極みで、あってはならないこと。真摯(しんし)に受け止め、二度とこのような事件が起こらないよう、再発防止へ全力で取り組む」と述べた。

 アンケートで心愛さんは「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」と回答し、県柏児童相談所が一時保護。その後、容疑者から激しい抗議があり、市教委は「威圧的な態度に恐怖を感じ、(回答のコピーを)渡してしまった」という。

◆文科相「対応極めて遺憾」

 柴山昌彦文部科学相は1日の閣議後記者会見で、アンケートの回答のコピーを渡した市教委の対応について、「適切ではなく極めて遺憾だ」と述べた。また「悲惨な事件の遠因になったのではないかとの思いを強く持っている。きちんと事実確認をしたい」と話した。

◆安否結果の報告求めず 千葉県緊急指示 実効性に疑問符

 同事件を受け、千葉県が管轄の6児童相談所に指示した、指導中の家庭の子どもの緊急安否確認について、結果報告を求めていないことが1日、分かった。亡くなった心愛さん同様に安否未確認の子がいても、県として全容を把握できない可能性があり、緊急確認の実効性に疑問符が付く。

 県児童家庭課によると、先月29日付で6児相に対し、虐待事案などで在宅指導中の家庭の子ども(一時保護解除後含む)約750人のうち、直近1カ月で安否が確認できていない子がいないか確認するよう通知。健康福祉部長名で行った。

 しかし、肝心の結果報告は求めず。実際、1日夕までに確認状況や安否不明の子どもの有無を報告してきた児相はなかった。同課は「対象が750人もいるので、まずは確認を求めた」としているが、心愛さんと同じ悲劇を起こさないための対策としては不十分だ。

 一方、独自権限を持つ千葉市児相は1日までに、保護解除で在宅指導になった子ども全員の安全を確認できた。1カ月以上、安否が確認できていないケース自体もなかったという。