交通事故死者、昨年上回るペース 横断歩道重点取り締まり 千葉県内

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早川本部長(右)らと手を上げて横断歩道を渡る園児=18日、県警本部前交差点
早川本部長(右)らと手を上げて横断歩道を渡る園児=18日、県警本部前交差点

 今年の千葉県内交通事故死者が、昨年を上回るペースで増えている。17日時点の死者は前年同期比24人増の123人で、全国ワースト3位。横断中の歩行者が車両にはねられる事故が散見されることから県警は、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいるにもかかわらず一時停止しないドライバーを重点的に取り締まる「ゼブラ・ストップ作戦」を展開。21日には秋の全国交通安全運動が始まり、後を絶たない交通事故の抑止と一層の安全運転を呼び掛ける。

 交通事故死者123人のうち、歩行中に事故に遭ったのは34人。車同士の事故死者39人に次いで多い。過去5年間の交通事故死傷者を見ると、歩行者が巻き込まれた事故のおよそ3割は横断歩道で発生。昨年は歩行中の事故2923人のうち、924人が横断歩道を歩行中に死傷した。

 横断歩道は歩行者が優先され、安全が確保されているはずだが、県警担当者は「安全な横断歩道を渡ってほしいとは一概に言えない状況になっている」と危機感をあらわにする。

 歩行者保護と歩行者優先をドライバーに再認識してもらおうと、県警は8月から、歩行者の横断を妨害する行為の指導や取り締まりを強化。横断歩道をシマウマの模様に見立てた「ゼブラ・ストップ作戦」を始めた。横断歩道に歩行者がいないか注意▽横断歩道の手前ですぐに止まれる速度で進行▽薄暮時の早めのライト点灯▽右側からの横断にも注視-をドライバーに注意喚起する。

 県警は今年1~8月、横断歩行者妨害違反で3740件を摘発した。県警交通総務課は「横断歩道は歩行者の聖域。ドライバーは道を譲り、歩行者も安全確認を」と訴える。

 また、秋の全国交通安全運動(21~30日)を前に県庁で18日、警察官ら約150人が参加して出動式を行った。

 あいりす幼稚園(千葉市美浜区)の園児が「左右をよく見て手を上げて道路を渡ります。車を運転する人は安全運転をお願いします」と元気よく宣誓。早川治県警本部長らと安全を確認し、しっかりと手を上げて横断歩道を渡った。

 子どもと高齢者の安全な通行の確保が、同運動の重点事項の一つになっている。

◆全国は最少ペース

 今年上半期(1~6月)の全国の交通事故死者は1603人(前年同期比72人減)で、68年ぶりに過去最少を記録した2017年を下回るペースで推移していることが、警察庁のまとめで分かった。65歳以上の高齢者は908人で全体の半分以上に上った。

 事故状態別では、歩行中が最も多い581人で、次いで自動車乗車中の563人だった。歩行中の死者のうち7割に当たる414人は65歳以上だった。

 死亡事故を含む交通事故の全体は、前年同期より2万533件少ない20万9818件だった。負傷者数も25万5357人で2万7757人下回った。

 人口10万人当たりの交通事故発生状況では、本県は134件(全国平均165件)、死者1・46人(1・26人)、負傷者162人(201人)だった。

◆薄暮時間帯、昼の4倍

 2013~17年に歩行者が車にはねられるなどした全国の死亡事故を警察庁が分析したところ、日没前後の「薄暮時間帯」は、1時間当たりの件数が昼間の約4倍に上ることがこのほど、分かった。道路横断中に事故に遭うケースが圧倒的に多く、同庁が注意を呼び掛けている。

 警察庁は、日没前後1時間を薄暮時間帯と規定。それより前の11時間を昼間、以降の11時間を夜間として24時間を分類した。その上で5年分の事故件数をそれぞれの時間数で割り、1時間当たりの数字を比べた。

 車と歩行者の死亡事故は、13~17年の薄暮時間帯に1363件発生し、1時間当たりでは681・5件。これは昼間の1845件を11で割った167・7件の約4倍。夜間は3532件で件数は多いが、11で割ると321・1件で、薄暮時間帯の半分ほどだった。

 警察庁は「薄暮時間帯は視界が徐々に悪くなり、ドライバーは歩行者に気付くのが遅れている可能性がある」としている。

 薄暮時間帯に事故で死傷した65歳以上の歩行者7937人のうち、反射材用品を着用していたのは215人のみ。街頭調査では高齢者の4人に1人程度は着用していたといい、事故防止に役立っているとみられる。