驚き「酒スイーツ」登場 女性、子どもの心もつかむ 【記者町香菜美が行く 酒処ちば巡り 第2部 独自路線でファン拡大】(4)

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ずらりと並べた地ビールに「自信があります」と胸を張る「寒菊銘醸」の佐瀬社長。ガラスの奥には地ビール工場が広がる=山武市松尾町
ずらりと並べた地ビールに「自信があります」と胸を張る「寒菊銘醸」の佐瀬社長。ガラスの奥には地ビール工場が広がる=山武市松尾町
観光客に人気の「寿萬亀」の大吟醸ソフトクリーム=鴨川市仲
観光客に人気の「寿萬亀」の大吟醸ソフトクリーム=鴨川市仲
吉崎酒造の「日本酒ゼリー」。芳醇な香りが広がり、スッキリとした味わい
吉崎酒造の「日本酒ゼリー」。芳醇な香りが広がり、スッキリとした味わい

 代々引き継いできた酒蔵を守り、昔ながらの造り方で日本酒を世に送り出す千葉県内の蔵元。「王道」の日本酒造りへのこだわりをみせながら、酒にまつわる「関連商品」で新たな顧客獲得を狙って知恵を絞る“開拓者”も現れた。生み出された商品は、酒の飲めない人や女性、子どもが思わず手を伸ばす「日本酒スイーツ」など。まんじゅうやゼリー、クッキーに、驚きでぐるぐると目が回りそうな冷たいすっきり商品も話題になっている。

◆地ビールも採用

 老舗酒造のイメージとは異なるポップな建物。「寒菊銘醸」(山武市松尾町)のレストラン「カントリービアハウス」の奥には、地ビール工場が広がる。ビールサーバーを設置して、絞りたて地ビールを味わえる貴重な施設だ。

 同社の佐瀬健一社長は「初めは猛反対されたと聞いている」と、「寒菊」など主力の日本酒を販売する蔵元が、ライバル商品のビールに手を出すことに反発があったと打ち明ける。

 地ビールといっても、酒蔵ならではのノウハウを注入し、原料の水も日本酒と同じく樹齢200年を超す柿の大木の根元から湧く清水を使うこだわり。発売したビールの一つは「コシヒカリライスエール」。ビール愛好家を日本酒のファンにもなってもらう、酒の垣根を越えた取り組みだ。

◆蔵元賛同して開発

 日本酒を使ったスイーツながら、酒が飲めなくてもおいしく食べられる「日本酒ゼリー」を企画したのは、和洋菓子製造販売の「オランダ家」(本社・千葉市美浜区)。

 県内9蔵元が商品開発に賛同。夏季限定で、オランダ家や各蔵元などで販売する。インターネットでは品切れ状態が続く人気商品となっている。

 県内最古の酒蔵「吉崎酒造」(君津市久留里市場)では、「吉寿純米吟醸酒」のゼリーが店頭を彩る。ふたを開けるとふわっと芳醇(ほうじゅん)な香りが鼻をくすぐる。スッキリとした味わいでぺろりと食べられる。

 アルコール度数は3%。ゼリーといっても、20歳未満は注意が必要な「大人のスイーツ」。同社当主の吉崎明夫さんは「『酒は飲めないがおいしい』とゼリーだけ買うリピーターもいる。女性にも人気」と反響を喜ぶ。「いろいろなきっかけでうちの酒を知ってもらえれば」と期待する。

◆「地酒づくし」

 自慢の酒「寿萬亀」を売り込む鴨川市仲の「亀田酒造」では、信じられないようなスイーツが土産コーナーなどに並ぶ。

 「地酒まんじゅう」「地酒ケーキ」「大吟醸どらやき」など“珍品”のオンパレード。極め付きは「大吟醸ソフトクリーム」。

 看板商品の寿萬亀・大吟醸をぜいたくに使うひんやりスイーツは、大吟醸から抽出したエキスで作った「シロップ」が決め手。とろりシロップをかけたソフトクリームをぺろっと一口なめると、ほんのり酒の風味が広がる。

 大吟醸のエキスは入っていてもノンアルコールなので、遠方から訪れたドライバーや子どもも、次々と手を伸ばす。約4年前に開発した驚きスイーツに、亀田雄司社長は胸を張る。

 飲食から離れた酒の関連商品も開発。目指すのは「地酒づくしの旅」。純米酒エキスを抽出したボディーソープやシャンプー&リンスは、県内約30のホテルや旅館で使われる。「肌がすべすべになる」と全身で日本酒を楽しめる。

 「酒を飲まない人にも、興味を持ってもらいたい」。県内の日本酒業界共通の願いを実現するため、蔵人らは、まだまだとばかりに斬新な商品を送り出す。