この機会逃さずに 被害者の高齢化憂慮 市原の特定失踪者姉竹下さん 【米朝首脳会談】

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失踪した了子さんのジャケットを手にする竹下さん。「被害者も家族も高齢化している。この機を逃さないで」と拉致問題の早期解決を願った=千葉市若葉区

 史上初の米朝首脳会談が12日に行われ、会談後にトランプ米大統領は「日本人拉致問題を(金正恩朝鮮労働党委員長に)提起した」と表明。市原市の特定失踪者、古川了子さん=1973年失踪、当時(18)=の姉、竹下珠路さん(74)=千葉市若葉区=は「トランプ氏が金正恩氏と直接話したことで、拉致問題解決の門戸を開いてくれた。この機会を逃さず、日本は今すぐ交渉へ本腰を入れて」と、拉致問題の大幅な進展を期待した。

 米朝首脳会談では、北朝鮮の非核化や体制保証、朝鮮戦争の終戦合意などについて議論され、トランプ氏は金正恩氏と共同声明に署名した。拉致問題については、米朝首脳会談直前に行われた日米首脳会談で、安倍晋三首相がトランプ氏に米朝首脳会談で議題に取り上げるよう求めていた。

 トランプ氏の拉致提起の表明を受け、竹下さんは「トランプ氏がどの程度の調子でどのような内容を話したのかは分からないが、言及してくれたのは大きなチャンス」と歓迎。

 一方で、一向に進まなかった北朝鮮の対応を踏まえ「米朝首脳会談がすぐ拉致解決につながると考えるのは期待しすぎ」と努めて冷静に受け止める。「拉致問題はあくまで北朝鮮と日本の間の問題で、安倍首相は自分の政権で解決すると明言している。日本政府が会談をチャンスと捉え、北朝鮮との直接対話へ向け今すぐに動き出さなければならない」と日本の積極的な行動が不可欠と指摘した。

 これまで何度も日朝間で協議され、そのたびに暗礁に乗り上げた拉致問題。「日本は何度も北朝鮮にだまされてきた。米朝首脳会談は複数回にわたるとみられ、長引けば北朝鮮のペースになり、まただまされるのでは」と懸念する。

 被害者の帰国を待つ家族や、被害者自身の高齢化も深刻な問題で、「拉致被害の疑いがある人も含め、被害者の70%が60歳以上。日本より厳しい食糧事情と生活環境の中で生きており、一刻の猶予もない。本当に命が心配」と不安を打ち明けた。

 「一番大事な人の命を、政治の道具でもてあそばれたくはない。一日も早く家族のもとに返してほしい」と語気を強め、45年前に突如失踪した了子さんが気に入っていたジャケットを手に、拉致問題の早期解決を願った。

 米朝首脳会談を巡っては、開催、中止、開催と状況が二転三転した。一時中止と表明した“トランプ外交”について、竹下さんは「北朝鮮のペースに乗らないという戦術だったのでは」と理解を示した。