無罪主張に続く反論 証拠信頼性巡り捜査員証言 14日被告人質問、18日結審 松戸小3女児殺害公判 

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松戸市の小3女児殺害事件の初公判に臨む渋谷恭正被告(左)と女児の父親のハオさん(イラストと構成・勝山展年)(共同)
松戸市の小3女児殺害事件の初公判に臨む渋谷恭正被告(左)と女児の父親のハオさん(イラストと構成・勝山展年)(共同)

 「誰を信じればいいのか」-。通学路で子どもたちを見守っていた小学校保護者会長が女児への殺人容疑などで逮捕され、地域に計り知れない衝撃を与えた事件の裁判員裁判が4日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で始まった。松戸市立六実第二小3年だったベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9)=を昨年3月に殺害したとして、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた渋谷恭正被告(47)は無罪を主張。DNA型鑑定など証拠の信用性が争点となり、検察側は捜査関係者を証人尋問して被告の主張を否定する展開が続いている。14日に被告人質問、18日は論告求刑と最終弁論を行い結審する見込み。事件の真相はどこまで明らかになるのだろうか。

(社会部・町香菜美)

 事件から1年2カ月余りたった4日朝。強い日差しが照り付ける中、傍聴席を求める400人の列が、公判への関心の高さをうかがわせた。

 午前10時、緊張感が漂う201号法廷。入廷した渋谷被告は、黒色ジャージー姿で逮捕時の短髪は肩まで伸び、白髪も増えていた。刑務官に支えられてゆっくりと立ち上がり、背中を丸めたまま証言台に立った。

 「全て違います」。裁判長に起訴内容の認否を問われ、やや早口で答えた。逮捕から一貫して黙秘や供述拒否を続けていたとされる渋谷被告が、沈黙を破った瞬間だった。

 おぼつかない足取りとは対照的に、口調ははっきりしていた。続けて「架空」「捏造(ねつぞう)」と検察を批判し「全面的に無実、無罪を主張します」と締めくくった。

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 冒頭陳述で検察側は、渋谷被告の軽乗用車のマットに付いた血液などからリンさんと同一のDNA型が検出されたと主張。わいせつ行為や殺害が同車内で行われ、一定の計画性があったと強調した。

 一方、弁護側は「捜査機関が犯人と見立てた渋谷さんのDNA型を意図的に混入させた疑いがある」と信頼性を否定。血液については、リンさんが事件前に渋谷被告の車に乗った際に付いた可能性があると反論した。

 検察側は、県警捜査員や科学捜査研究所(科捜研)の研究員らを証人尋問。遺体や証拠品の鑑識・鑑定が適切、適正に行われたとし、証拠の信頼性を疑う弁護側主張を否定する証言を引き出した。

 また渋谷被告のDNA型を意図的に混入させたという弁護側主張についても証人は「警察官として自覚を持っている」「神に誓ってない」と口々に強く否定した。

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 椅子に深く腰を掛け、分厚い眼鏡越しに時折、検察側や証人に視線を向けた渋谷被告。リンさんの母親の胸が張り裂けそうな思いがつづられた供述調書を検察側が朗読したり、笑顔のリンさんの写真がモニターに映し出されたりしたが、無表情のまま。心の内を読み取ることはできなかった。

 検察側の机には証拠書類などの分厚いファイルが何冊も並ぶ。証拠や証言を突き付けられる中で、14日の被告人質問で渋谷被告は何を語るのか。再び注目が集まる。

 リンさんの父親、レェ・アイン・ハオさん(35)は連日、リンさんの写真を抱いて法廷に足を運ぶ。まな娘について耳をふさぎたくなるような内容が法廷で語られても、感情を押し殺すようにして、しっかりと耳を傾けている。15日には証言台に立つ予定だ。

 ハオさんは初公判後の記者会見で、語気を強め、裁判に臨む胸中を明らかにした。「どうしてリンちゃんは殺されなければならなかったのか。渋谷被告がうそを言っているのなら絶対に許さない。裁判で真実を判定してほしい」。判決期日は追って決定される。