「過失なし」と判断 隊員殉職で君津市消防 遺族「納得できない」

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 君津市坂田の民家火災で消防隊員が殉職した事故について、君津市消防本部は10日、外部有識者で構成する事故調査委員会での検証結果を踏まえ、「消防本部としては過失はなかったと判断した」と発表した。一方、殉職した隊員の父親(57)は千葉日報社の取材に、「責任回避で納得できない」と非難した。

 同消防本部によると、民家火災は昨年4月6日午前6時5分ごろ発生。屋内で要救助者を捜索中の戸田拓也隊員=当時(29)=が急激な黒煙に巻き込まれ全身にやけどを負い、同月23日に殉職した。屋内進入時、建物内はうっすら煙が漂う程度だったため、指揮隊を含め現場では命綱と援護注水は必要ないと判断したという。

 調査委は、天井裏などにたまった可燃性ガスと空気が混ざり、爆発的に燃焼するバックドラフト現象が起こったと推定。同現象は、戸を開放した直後に起きることが多いが、今回は排煙のため窓と玄関戸を開放した後、時間差があって発生した特殊なケースだったという。

 総務省消防庁の安全管理マニュアルでは、要救助者の捜索は命綱を着け、援護注水を受けて行う留意事項があるが、調査委は、今回の現象を瞬時に判断するのは難しく、空気呼吸器を装着するなど必要に応じた行動をしていたことから、「瑕疵(かし)があったとは判断できない」とした。

 消防本部は昨年12月25日に遺族に調査結果を報告。戸田隊員の父親は10日、本紙の取材に、「報告とは受け止めていない。原因究明を調査委の検証にゆだねており責任回避だ。マニュアルに沿って活動していないのが原因」と非難した。