事故死止められず後悔 同僚「なぜこんなことを」 印西・睡眠剤混入事件

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事件の動機解明を望む、事故死した山岡恵子さんの同僚女性(手前)ら=5日、印西市(共同)

 印西市の睡眠導入剤混入事件で、殺人罪などで8日に起訴された准看護師、波田野愛子被告(71)は、老人ホームの同僚に睡眠導入剤を飲ませたことを認めている一方で、具体的な動機は明らかになっていない。「なぜこんなことを」。同僚らは事故死した山岡恵子さん=当時(60)=を助けられなかった後悔を抱き、公判での全容解明を望んでいる。

 「山岡さんを車で送ろうと思っていた。気付いていたら絶対に帰さなかった」。山岡さんと親しかった同僚女性(70)は今も悔やむ。

 捜査関係者によると、山岡さんは2月5日、老人ホームから車で帰宅途中、近くで脱輪。業者が車を引き上げている間、事務室で仮眠していたが、被告に帰るよう促され、その後に車同士の事故で死亡したとされる。女性は業者への対応に追われ、再び乗車したことに気付かなかった。「なんで帰したの」と被告に説明を求めると、「帰りたいと言うから」と答えたという。

 女性は山岡さんが死亡した約20日後からめまいなどの体調不良が続いた。5月15日には、迎えに来た夫(72)の車で事故に遭った。事故当日を含めて不調を訴えた日が夫の日記で計11日あり、いずれも被告の勤務日だった。被告は2人にも導入剤を飲ませたとして、殺人未遂罪で起訴された。「不安な日々だった。誰もひどいことはしていない。なぜこんなことをしたのか知りたい」と女性は願う。

 同僚らが事件の契機の一つと考えるのは、被告と仲が良かった男性職員の辞職。「男性は亡くなった山岡さんと衝突していた」(職員)という。ただ、捜査幹部は「動機ははっきりしない」と打ち明ける。

 山岡さんの次男で同じ施設の職員の望さん(36)は公判を傍聴するつもりだ。「母の死は納得できない。どんな理由があったのか、本人の口から聞きたい」と厳しい表情で話した。