両親殺害、無罪主張 長男「点火してない」 印西放火殺人、千葉地裁で初公判

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 昨年7月、印西市岩戸の建築関係会社「篠田興業」から出火し70代の夫婦の焼死体が見つかった事件で、殺人と現住建造物等放火、覚せい剤取締法違反の罪に問われた、長男で同社役員、篠田卓良(たかよし)被告(48)の裁判員裁判初公判が14日、千葉地裁(楡井英夫裁判長)で開かれ、卓良被告は覚醒剤の使用は認めた上で「私は放火も殺人もしておりません。ライターを持って点火しておりません」と、放火殺人について無罪を主張した。

 起訴状などによると、昨年7月上旬~14日ごろにかけて、県内または周辺で覚醒剤若干量を使用したほか、同日午後5時45分ごろ、木造2階建て社屋兼住宅(延べ床面積198・21平方メートル)内で、殺意を持って、1階6畳和室の畳の上にいた父親で同社員、浩一さん=当時(75)=と母親で同社役員、弘子さん=同(70)=にガソリンをまいて持っていたライターで火を放ち、家屋約151平方メートルを焼損するとともに2人を焼死させて殺害したなどとしている。

 検察側の冒頭陳述などによると、卓良被告は両親と妻、2人の子どもと2世帯で同居。弘子さんと篠田興業を経営し、その後浩一さんも関与したが、2015年ごろから経営が悪化。浩一さんと意見が合わず不満や怒りを募らせ、同年3月には覚醒剤を使用し、室内で木刀や包丁を振り回すなどして逮捕。この事件が原因となり、昨年1月に妻と離婚した。

 同年7月14日当日は、浩一さんと口論となり、暴行を加えた上、室外にあったガソリンの携行缶を持ち込んで火をつけた。検察側は「極めて危険かつ残虐。室内に火気はなくライターの燃え残りも見つかっている。警察官らに自ら火をつけたと繰り返し話しており、責任能力に問題はない」と述べた。

 弁護側は冒頭陳述などで、二重人格を題材にした小説「ジキル博士とハイド氏」を挙げ「薬の副作用で人格が全く変わる。覚醒剤には幻覚、妄想、異常な興奮状態になることがある」とし、15年以降はうつ病と診断されて意味不明な会話をしたり、見えない何かに対して攻撃的になるなどしていたと指摘。

 「卓良被告は『突然火がついた』と話している」とした上で「当時は和室に何度かガソリンがまかれ、気化したガソリンにより火がつきやすい状態だった」と述べ「意図してライターで火をつけたという実行行為はなく、当時は覚醒剤による急性中毒症状で心神喪失状態にあった」と、放火殺人についての無罪を主張した。

 検察側は昨年8~11月、卓良被告の鑑定留置を実施し、責任能力の有無などを調べていた。