台風高波4人救助 監視員決断、命つなぐ連携 千葉県、10年ぶり水難救助表彰

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危険を顧みず4人の命を救った功績をたたえられ10年ぶりに「水難救助功労者」表彰を受賞した(左から)小林さん、西崎さん、(右から)高風聞さん、弓削さん=10日午前、千葉市中央区の千葉県議会棟

 山武市の海水浴場で7月、危険を顧みず台風の影響で荒れた海に飛び込み、連携して波に流された20代男性4人の命を救ったとして、千葉県は10日、順天堂大学3年の弓削匠さん(21)=酒々井町=と西崎賢さん(21)=富里市=ら監視員男性4人を「水難救助功労者」として表彰した。同表彰は10年ぶり。弓削さんは「今後につなげたい」と気を引き締め、西崎さんは「弓削さんがいたからこそ救助できた」と、同じライフセービング部に所属し信頼し合う“バディ”をたたえた。

 ほかに表彰されたのは、日本大学4年の高風聞和樹さん(22)=東京都練馬区、県レクリエーション都市開発会社、小林俊樹さん(43)=千葉市稲毛区。

 県などによると、台風5号の影響で波が高く「遊泳注意」が発令されていた7月28日、弓削さんと西崎さんは山武市の白幡・井之内海水浴場で監視業務中だった。弓削さんらは波打ち際で遊んでいた20人ぐらいの団体を確認。「危ないな」。注意を促していた瞬間、波が押し寄せ、1人が流された。弓削さんはすぐに海へ飛び込んだ。荒波にもまれながら、何とかしてその1人を救助した。

 離れた高台から計4人が波に流された事態を把握していた西崎さん。「まだ3人いる」。救助の基本は、要救助者1人につき救助者1人。弓削さんと西崎さんだけでは足りない。西崎さんは救助へ向かい、弓削さんは近くの本須賀海水浴場で監視業務中だった小林さんと高風聞さんに救助を要請した。

 台風による高波で流された3人は危険な状況。監視員の命も落としてはならない。弓削さんからの連絡を受けた小林さんに選択が迫られた。日ごろの2人の働きぶりを知っていた小林さん。さらに高風聞さんもいた。「任せよう」。一刻を争う現場を、弓削さんと西崎さんに託した。

 高風聞さんとともに現場に急行した小林さんは消防など関係機関に連絡し、現場で指揮を執った。

 高風聞さんも加わった3人は悪条件の中でレスキューボードに乗り、荒波を乗り越え約200メートル沖合に。あまりの高波でボードの操作が困難になり一時ボードを手放し、最後の1人ではレスキューチューブのみで救助を試みた場面も。小林さんは「台風の悪条件の中、任せたのはギリギリの決断だった。必要な救急機材の選択も一切ミスがなかった」と振り返る。

 通報で駆け付けた救急隊により3人は病院に搬送され、もう1人は無事が確認された。3人は現在、社会復帰できる状態まで回復したという。

 弓削さんは「本来は未然に防ぐのが仕事。今後の救助につなげていきたい」。西崎さんは「(弓削さんと)厳しい練習を一緒に乗り越えているからこそ信用している。だからこそ救助できた」と話す。

 高風聞さんは「この経験を伝えつつ生かしていきたい」。小林さんは「彼らだからこそできた。ベストメンバーだった」と、目を細める。

 今泉光幸・県夏期観光安全対策本部長は「台風の影響で高い波が押し寄せる中、4人全員を救った沈着冷静で勇気ある行動に心から感謝する」と、4人をたたえた。