被告「一人で悩まずに相談していれば…」 【性同一性障害女性の放火事件】<3>

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 自身もかつて交際相手の両親に性同一性障害を告げたところ「『二度と会うな。あいつは気持ち悪い』と言われ絶縁状態だった」。

 パートナーの両親も“運命”を背負うことになってしまう結婚。「例えば親戚に娘の結婚相手を説明するとき負い目を感じてしまう。頭で分かっていても周りには話せない」

 「絶対にやってはいけない」とする大石被告の犯行について、「やり場のない怒りを吐き出してしまったのではないか」と分析。

 「性同一性障害の理解は周りの支援と自分の『一歩踏み出す力』が大事。(被告人には)自分のセクシュアリティを心から打ち明けられていたのが彼女しかいなかったのではないか」と推測し、「両親などに気兼ねなく話せたら、今回のケースには至らなかったかもしれない」と話した。

 法廷で大石被告の母親は「(性同一性障害を)カミングアウトできず、一人で抱え込んでしまった。気づけなかったのがとても悔しい」と話した。大石被告も「(女性に)本当のことを聞けば良かった。一人で悩まずに相談していれば…」と声を詰まらせた。

◆「支援に感謝」

 11日の最終意見陳述で大石被告は、女性らに対して「怖い気持ちを持たせてしまった。自暴自棄になっていた」と反省。逮捕されてから公判まで「家族や前職の職場の人から手紙などで支えてもらった」と感謝し、「どんな形でも罪を償っていく。この事件のことを毎日考え、一生忘れない」と誓った。

◇性的少数者 同性愛のレズビアンやゲイ、両性愛のバイセクシュアル、心と体の性が一致しない性同一性障害といったトランスジェンダーなど。頭文字をとってLGBTとも言われる。電通が2015年に20~59歳の約7万人に実施した調査では、7・6%が該当した。自治体による同性パートナーの証明書発行や、企業がLGBT社員を支援するなどの動きも出ている。文部科学省は15年、学校で性的少数者の児童生徒に対し、望む性別の制服着用や、相談体制の整備などきめ細かい対応を求める通知を教育委員会に出した。