元准看護師2人無罪主張 暴行否定「正当な業務」 石郷岡病院事件初公判

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 千葉市の精神科病院「石郷岡病院」で2012年、男性患者=当時(33)=が介助中に暴行を受けて寝たきりになり、2年4カ月後に死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた、いずれも元准看護師の菅原巧(63)=千葉市若葉区、田中清(67)=市川市=両被告の裁判員裁判の初公判が15日、千葉地裁(高橋康明裁判長)で開かれ、両被告は「正当な看護業務だった」などと無罪を主張した。

 起訴状などとによると、両被告は准看護師として勤務していた同病院で共謀し12年1月1日午後4時15分ごろ、病院内の保護室で、入院患者の弘中陽さん=当時(33)、市原市=を介助した際に頭を踏みつけるなどして首の骨を折るなどのけがを負わせ、14年4月28日に傷害を原因とする両側性肺炎により死亡させたなどとしている。

 いずれもスーツ上下にネクタイ姿で出廷した両被告。高橋裁判長から起訴内容に関する認否を問われると、菅原被告は「私は被害者に足で踏みつける暴力を行ったことはない」、田中被告は「共謀については意思の疎通もなく否認する。暴行の事実はなく正当な看護業務だったと主張する」と述べた。

 検察側の冒頭陳述によると、両被告は同病院に勤務する以前は千葉刑務所で刑務官として診察補助をしていた。犯行時は同病院の男子閉鎖病棟で入浴介助などの看護全般を担当。弘中さんは広汎性発達障害と診断され同病院に入院し、11年12月上旬ごろから保護室で生活。自分の意思で室外に出られず、カメラで監視されている状態だった。

 犯行当日は両被告と職員計4人で保護室に入室。職員2人が室外に出たところ、おむつ交換に手間取り、弘中さんの足が菅原被告の体に当たった。田中被告はひざで弘中さんの胸をおさえつけ、菅原被告がゴム製シューズを履いた足で顔を数回踏みつけた。菅原被告は弘中さんの顔を布で拭き、田中被告が最後に退室したという。

 2年4カ月後に死亡したことと傷害との因果関係について検察側は「被害者は首の骨を折られたため寝たきりとなり、誤嚥(ごえん)を起こしやすくなり体力が低下し、肺炎により死亡した。因果関係は認められる」と述べた。

 一方、菅原被告の弁護側は「看護の実情を理解してほしい。閉鎖病棟で暴れる患者を必死に押さえた普通の行為で、罪に問われない」と主張。田中被告の弁護側は「暴れだした患者を放っておくと、看護師も患者もけがをする。押さえ込むことは普通のこと。田中被告に弘中さんに対する特別な感情はなく、暴れる弘中さんを押さえ込むので精いっぱいだった」と述べた。