誤解受け心身傷つき 支援団体、周知へ注力 “原因不明”に苦しむ患者、家族 【甘えじゃない、怠けじゃない 脳脊髄液減少症を知って】(中)

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 交通事故やスポーツ外傷、時にはささいな衝撃によって脊髄などから脳脊髄液が漏れ、頭痛や倦怠感をもたらす脳脊髄液減少症。長らく知られず、原因不明の症状に患者は「怠け病」などともいわれてきた。正しい対処のため、支援団体は「とにかく知ってほしい」と周知に力を注ぐ。

 千葉県ホームページでは、東京ベイ・浦安市川医療センター(浦安市)、成田赤十字病院(成田市)、亀田総合病院(鴨川市)など12病院を診断可能な病院として掲載している。自分の血液を患部に注入して脳脊髄液の漏れをふさぐブラッドパッチ療法が有効とされるが、同療法が可能なのはさらに8病院に絞られる。同療法は2012年に先進医療として認められ、今年4月に医療保険が適用されたばかり。

 千葉県を拠点に活動する「脳脊髄液減少症患者支援の会子ども支援チーム」代表を務める流山市の鈴木裕子さん(70)の次女は、中学入学後、1カ月ほどで頭痛やだるさを訴え、やがて「脳みそをかき回されるよう」と悪化。脳の磁気共鳴画像(MRI)を撮っても耳鼻科や眼科でも原因不明で、神経内科では「甘やかす親が死ねば治る」とまで言われた。鈴木さんは「あの悔しさが活動のスタートになった」と振り返る。

 次女は17歳まで苦しんだが、ブラッドパッチ療法を受け改善した。原因は吹奏楽部でトロンボーンを強く吹いていたことしか思い当たらない。

 船橋市の川野小夜子さん(69)の息子は10歳のとき遊具から落下。以来、頭痛やめまいに悩まされた。不安神経症と診断されたり、ただの怠けと言われ続けても、川野さんは原因が体のどこかにあると信じた。

 23歳で呼吸困難に陥り寝たきりになった。4年後、脳脊髄液減少症と診断され治療。今では就職し結婚もできた。川野さんは「誰でもなり得る病気で、人生が変わってしまう。一生懸命啓発したい」と同チームで活動している。

 今年7月、東京都港区の山王病院で、秋田県の高校1年の女子生徒(15)が同療法を受けた。小学5年で突然始まった原因不明の頭痛が改善。「未来が明るくなった」と笑みがこぼれた。一方で、都内の男子児童(11)は6月に受けた同療法の効果が軽微で再治療を受けた。効果には個人差がある。

 同病院で脳脊髄液減少症の子どもを多く診てきた高橋浩一医師(51)は「子どもの治療ができる病院が極端に少ない。認知度の向上が大切で、特に精神疾患と誤解し『甘えるな』などと無理をさせて悪化させたり、気持ちを傷つけてはいけない」と指摘する。