歌詞から社会が浮かぶ 「Jポップで考える哲学」を出版 実家のある千葉市でワークショップ・戸谷洋志さん 【時の人】

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 学生が出版の企画を発表し、プロの編集者が審査するイベント「出版甲子園」で、Jポップの歌詞を題材にした哲学入門書を提案。これがきっかけで9月、「Jポップで考える哲学」を出版した。

 高校時代にバンド活動をして、若者に人気がある日本のポピュラー音楽に親しんだ。「Jポップには時代の無意識が反映されている。歌詞を分析することで、社会が浮かび上がってくる」

 人気グループ嵐のヒット曲「Believe」の歌詞は、パスカルの思想を踏まえ「進んでいくが、どこに行き着くか、分からない」という若者の生きづらさを代弁していると読み解いた。

 最終章で取り上げたのは、人気グループ「いきものがかり」のヒット曲「YELL」。ニーチェに触れながら「別れ」を人間関係の終わりではなく、それぞれの人生を尊重しながら、歩むことへの「励まし」と捉えた。

 作詞したリーダーの水野良樹さんがこの章を読み、水野さんと対談することに。戸谷さんは「自分と異なる意見を排除しようとする風潮を感じるが、他者を尊重してほしいと思って書いた」。

 昨年から毎月1回、実家がある千葉市内で、対話型ワークショップ「西千葉哲学カフェ」を主宰。「せこい」「カワイイ」などをテーマに、参加者同士の対話を促す。「研究成果を社会に還元するのが研究者の責任だと思います」。大阪大大学院に在籍し特任研究員を兼ねる。核廃棄物の問題はじめ、未来世代への責任を考える環境倫理が専門。大阪府在住の28歳。