新治療法で身体負担減 千葉大病院、臨床試験へ 難病LCAT欠損症

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 千葉大医学部付属病院は、腎不全などを引き起こす難病「家族性LCAT(エルキャット)欠損症」の新たな治療方法を開発し、臨床試験を行うと発表した。足りない酵素を分泌できるように遺伝子加工した患者自身の脂肪細胞をもう一度体内に戻す。食事制限や酵素注射を繰り返す必要のあった従来の治療法と比べ、患者の負担軽減が期待できるという。

 「家族性LCAT欠損症」は、善玉コレステロールの働きに欠かせない酵素の「LCAT」が遺伝的に不足。このため、善玉コレステロールを通じた不要なコレステロールの排出ができず、腎臓や目に蓄積し、腎不全や角膜混濁の症状が現れる。患者は100万人に1人程度のまれな病気で、厚生労働省から昨年、難病の指定を受けた。

 記者会見した同病院によると、従来の治療法は低脂肪食での食事療法やLCATを血中に注射して補うなどの対症療法で、処置を繰り返す必要があり、患者の負担が大きかった。

 新たな方法では、患者から取り出した脂肪細胞に正常に働くLCAT遺伝子を組み込み、体内に戻すことで、LCATを持続的に補充できるようにする。

 脂肪細胞はがん化などが生じにくい上、人間の細胞の中でも特に寿命が長い。体内に戻す手法は形成外科の治療でよく使われ、安全性は確立。患者自身の脂肪細胞を使うため拒絶反応の恐れもない。

 脂肪細胞に遺伝子を組み込んで体内に戻すのは初めて。マウスの実験では実際にLCATが分泌され、善玉コレステロールが増えた。ただ、マウスは腎不全などを起こさないため、症状に対する治療効果はまだ明らかになっていない。

 被験者は、アレルギー反応を避けるため、血液中にLCATが全くない人は対象外とする。今年中に1例を開始し、来年には3例の試験を進めたい考え。

 この治療法は、同じく血液中に欠いている酵素を入れることで治療する血友病やライソゾーム病への応用も期待される。