「代々の土地守りたい」 成田空港用地訴訟で市東さん

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東京高裁の控訴審判決後、記者会見する市東孝雄さん(共同)
市東孝雄さんが耕作している土地2カ所(矢印)。隣接する成田空港B滑走路(右上)の誘導路が「へ」の字に湾曲する一因になっている=2013年5月(共同)

 成田空港の用地訴訟で12日、空港用地内にある耕作地の明け渡しなどを命じられた空港反対派の農業、市東孝雄さん(65)は、今も航空機の行き交う誘導路のそばで農業を営む。問題の土地は約7284平方メートル。祖父が開拓、3代にわたり約90年、耕してきた。訴訟などを通じ市東さんは「代々の土地を守りたい」と繰り返してきた。

 1999年1月に父を亡くした後、市東さんは空港への反対運動に身を投じた。その一方で、農家として父の代から始めた有機栽培を守り続けている。誘導路そばの黒土の農地で、ネギやモロッコインゲン、トマトなど年間約50種を育てる。

 東京地裁が2013年7月に明け渡しを命じた後も、「この農地で死ぬまで農業を続けていく」と強調。控訴審判決の12日までに、支援者らが約2万8千人分の反対署名を東京高裁に提出した。

 この日も午前中に成田市内で野菜の出荷を済ませ、法廷には白色のポロシャツに紺色のジーンズ姿で現れた市東さん。控訴を退ける裁判長の言葉に、厳しい表情を崩さなかった。

 判決後の記者会見では、しっかりした口調で「不当極まりない国策裁判だ。最高裁で(判決を)ひっくり返す」と述べた。

◆農民への死刑判決
 市東孝雄さんの話 不当極まりなく不誠実だ。結果ありきの国策裁判で、農民である私に、死刑判決が下されたようなものだ。最高裁でひっくり返す気持ちで、これからも闘っていく。

◇成田空港の用地訴訟 成田国際空港会社(NAA)が、用地内にある市東さんの2カ所の耕作地(計約7284平方メートル)の明け渡しなどを求めた訴訟で、東京高裁は12日、現存する全ての建物の撤去と土地の明け渡しを命じた一審千葉地裁判決を支持し、市東さんの控訴を棄却した。市東さんは即日上告した。

 NAA側が明け渡しを求めている土地としては最大規模。いずれもB滑走路の誘導路脇にあり、1カ所は誘導路が「へ」の字に湾曲する一因になっている。

 市東さん側は「実質的な強制収用だ」などとあらためて主張したが、小林昭彦裁判長は一審同様、「明け渡しを求める手続きに違法性はない」と退けた。