殺処分から動物守れ ワースト返上へ来月新条例 千葉県、飼い主の責任強化 市民団体も啓発奮闘

昨夏市内で保護し、家族の一員となった雌猫の「ピンゼル」をなでる吉田さん(左)と木村代表=2月、松戸市内
昨夏市内で保護し、家族の一員となった雌猫の「ピンゼル」をなでる吉田さん(左)と木村代表=2月、松戸市内

 飼い主に捨てられるなどして施設に収容されたものの、引き取り手が見つからない動物には「殺処分」という過酷な運命が待っている。千葉県内で2013年度に殺処分された犬や猫は約3500頭に上り、ここ数年、全国都道府県でワースト上位にある。こうした現状に歯止めをかけようと、県は飼い主の責任を強化した新条例を来月1日に施行する。また「殺処分ゼロ」を訴える市民団体らも各地で地道な活動を続けている。官民の動きを追った。

 (社会部・花村愛弓)

◆県条例「責任と自覚を」
 県衛生指導課によると、ここ数年、県内での犬猫の殺処分数は全国でワースト上位が続く。

 特に猫の殺処分は多く、09年度は5722頭、10年度は4866頭で、連続でワーストワン。11~13年度は3537~2568頭で、殺処分数は年々減少しているものの、いずれもワースト10内に入るのが現状だ。

 来月1日施行の県動物愛護管理条例は飼い主の責任と自覚を促し、殺処分減につなげるのが狙い。避妊・去勢手術、飼い主の情報を記録したマイクロチップ装着、猫の屋内飼育を勧奨するなど、飼い主による管理を強化。ずさんな飼育をする飼い主には指導も行っていく方針という。

 同課公衆衛生獣医班の可世木仁哉班長(48)によると「千葉は温暖で動物が暮らしやすい。避妊去勢手術をせずに放し飼いにすると、犬や猫が次々に生まれる。飼い主が手に負えなくなり、殺処分につながってしまう」と嘆く。

 また、飼育費用や転居など、身勝手な理由で動物を捨てる飼い主も多いといい、「動物はおもちゃじゃない。家族の一員として飼う覚悟を持ってほしい」と呼び掛けている。

◆映画上映や意見交換会
 「殺処分ゼロ」を目指し、県内の市民団体も奮闘している。

 松戸市の市民団体「動物福祉団体いのち」(木村悦子代表)は13年5月の設立以来、殺処分や命をテーマにしたドキュメンタリー映画『犬と猫と人間と』の上映会を地元や千葉市などで7回開催。上映後に参加者との意見交換会も開き、殺処分について話し合う場を提供している。

 ドイツ出身の同団体のボランティア、吉田マデリンさん(25)=同市=は昨年2月、日本人男性と結婚し来日。上映会に参加し殺処分を知ったときは、ショックで言葉を失ったという。「ドイツでは、殺処分はゼロに近い。動物の命が人間と同じように尊重されている」ためだ。

 「日本の思いやりの文化を、動物にも向けて」とボランティアに身を投じた。独自に、野良猫を引き取ったり、保護して自費で避妊・去勢手術を受けさせる活動も続けている。「1頭にかかる手術費は、どんなに安くても約5千円。費用はかかるが殺処分をなくすため」とアルバイトで費用を工面している。

 捨てられた動物を見過ごせず自宅に連れ帰っては、夫とけんかになることもあった。「殺処分の現実がつらくて、ドイツに帰りたいと何度も思った。でも、日本とドイツの良いところを生かして私ができることを-と考えたら、少し気持ちが楽になった」

 「ドイツでは家庭で動物を飼育する場合はブリーダーやシェルター(保護施設)からの譲渡がほとんど」という。「ペットを“買う”のではなく、命を“譲り受ける”意識を持ってほしい」と訴えた。


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