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防護服まとい緊迫訓練 成田赤十字も受け入れ態勢 エボラ熱、対策強化

 西アフリカでエボラ出血熱患者の治療に当たった医師が米国内で陽性反応を示すなど、ウイルスの広がりは先進国へも飛び火し始めた。空港や病院など、日本国内でも、感染者が見つかった場合に備えた対策強化が急ピッチで進む。

 年間3千万人が国際線を利用する日本の玄関口、成田空港からほど近い成田赤十字病院は7月下旬、防護服で身を固めた医療スタッフが感染症病棟に集結し、異様な緊張感に包まれた。エボラ熱の患者を受け入れる訓練だ。

 患者が吐いた汚物を清掃するという想定の訓練では、「しゃがむ時にガウンの裾が床に付くと汚染されるぞ」「汚物は意外と広く飛散する。消毒液は壁やベッドの足にもかけろ」などと細かい指示が飛んだ。訓練後に防護服を脱いだ看護師は首の周りに大汗をかいていた。

 エボラ熱患者を受け入れた米国とスペインの病院では、防護服を着ていたにもかかわらず二次感染が起きた。手袋を外す際、誤って患者の体液が付いた部分に触れた可能性が指摘される。

 国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)の堀成美看護師は「治療後は疲れて集中力が落ちる。防護服を脱ぐ時が一番危険だ」と話す。同病院では、感染症病室と清潔なエリアを隔てる部屋の壁に、防護服の脱ぎ方が写真付きで示されたマニュアルを張った。服や手袋を脱ぐ際にミスがないか、2人一組でチェックすることを決めた。堀さんは「適切な準備と訓練があったら米国のようなエラーは起きない」と話す。

 東京都墨田区の都立墨東病院は8月、エボラ熱などの感染症対策として、病室を新設した。約30平方メートルの病室は、汚染された空気が病室の外に出ないように気圧調節する機能が付いている。

 換気口にはウイルスを通さないフィルターを付け、トイレや洗面台の排水は汚水タンクにためて消毒液をまぜて処理し、直接下水には流さない。

 2003年に新型肺炎(SARS)が流行した時から、毎月防護服の着脱訓練を繰り返している。防護服は約100着備蓄した。防護服の表面にウイルスを含む患者の体液に見立てた蛍光塗料を塗り、その部分を触らないように防護服を脱ぐ訓練も行った。後で紫外線を当てると、触ったかどうか、一目瞭然という。

 富山順治副院長は「エボラ熱は日本にいつ来てもおかしくはない。最初に患者を見つけた時にいかに封じ込めるかが重要だ」と話した。

 エボラ熱に対応できるのは、墨東病院などの感染症指定医療機関だ。エボラ熱の潜伏期間は平均1週間で最大21日とされ、感染直後に日本に入国した場合、検疫所で発見できない場合もある。患者が国内のさまざまな地域に移動する可能性があるため、こうした指定医療機関は全国38都道府県で45カ所整備されている。しかし宮城や香川など9県はまだ整備されておらず、対応が急務だ。


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