<浦安の震災液状化訴訟>陥没、傾斜、残る爪痕… 全面敗訴にため息

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 分譲地一帯に深い爪痕を残した液状化被害から3年半余り、住民の上野智さん(74)は8日、不動産業者の賠償責任を否定した東京地裁判決に首をかしげ、深くため息をついた。

 白壁のタウンハウスが並ぶ浦安市の分譲地は、今も地面の陥没が目立つ。上野さんが移り住んだのは1981年の分譲開始直後。2人目の子どもの誕生がきっかけだった。全70戸は、住民同士が顔なじみになるのにちょうどいい規模。分譲地内の広場では毎年夏、住民だけの祭りが開かれた。

 2011年3月11日、激しい揺れの後、敷地のあちこちから水が噴き出した。外の階段は崩れ、通路や広場が沈下して泥水に覆われた。全戸が「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」のいずれかに判定され、傾いた住宅のせいで体調を崩す住民もいたという。

 早急な傾斜回復工事を求める住民と、マンションへの建て替えを訴える住民との間で意見が割れ、コミュニティーは変質した。広場のゆがみがひどく、夏祭りは震災以来、実施できていない。

 震災後に転出した世帯もあるが、上野さんは「愛着がある」と離れるつもりはない。「地盤改良工事をしなかったのは間違いだったと認めてほしい」。司法への願いは届かなかった。