イオンが犬の介護施設 ペット高齢化に対応 幕張新都心店内に今月

犬用の介護施設がオープンする「イオンモール幕張新都心」ペットモール内「PECOS」(千葉市美浜区)
犬用の介護施設がオープンする「イオンモール幕張新都心」ペットモール内「PECOS」(千葉市美浜区)

 イオングループの「イオンペット」(市川市)が今月、犬用の介護ケア施設を千葉市美浜区の大型ショッピングモール「イオンモール幕張新都心」内にオープンする。「老犬ホーム」と呼ばれる小規模業者の介護施設はこれまでにもあったが、流通大手がペット介護事業に乗り出す形だ。飼育責任を規定した改正動物愛護管理法が施行されるなか、飼い主、ペットともに高齢化が進むケースもあり、ニーズは高まっているとみている。

 同社によると、料金は犬の体重などによって異なるが、1匹につき1カ月約10万円からで調整中という。同じショッピングモールにある動物病院に24時間態勢で獣医師が待機し、併設するドッグランやペットジム、ペット用プールと連携して専門スタッフが食事や運動の介助といったケアに当たる。

 施設は100~130平方メートルになる予定で、1匹当たり約1・5平方メートルのスペースを確保。当初は約20匹の受け入れを想定しているという。

 昨年、改正動物愛護管理法が施行され、飼い主がペットを最期まで飼育する責任が規定された。しかし、飼い犬の医療や飼育環境の向上に伴い平均寿命は1980~90年代に飛躍的に延びたとされ、近年は「認知症」が原因とみられる犬の遠ぼえや、歩行困難犬の介助に悩む飼い主が少なくない。飼い主が先に死亡し、飼育が難しくなる事例もある。

 イオンペットの小川明宏社長は「家で飼われている犬は、人間より高齢化が進んでいるという調査もある。第1号施設でじっくりとノウハウを蓄積し、業界の基準づくりに貢献したい。いずれ、全国展開できるよう体制を整えたい」と話している。

◆“老犬ホーム”実態ばらつき
 昨年9月に施行された改正動物愛護管理法は、ペットを最期まで責任を持って飼育することを義務付けた。しかし「認知症」による夜間の遠ぼえや、お年寄りが飼育する犬が高齢化で歩行困難になり“老老介護”状態に陥るなど、苦難に直面する飼い主も少なくない。

 そうした犬を預かりケアする小規模な「老犬ホーム」が各地にあるが、預かるだけのペットホテルとの境界があいまいで、24時間体制のケアが難しいなど課題は多い。サービスや料金も施設ごとに異なるのが実情だ。

 熊本県菊池市の老犬ホーム「トップ」を運営する緒方心さんは「ペット介護はこれまで一般的でなかった。運営の仕方が各施設によってまちまちなのも問題だ」と指摘する。

 「施設を開きたい」という相談を最近、数多く受けるという緒方さんは「今後ますます各地で必要となってくる施設。業界として基準づくりが急がれている」と話した。


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