「今年の収穫もう駄目」 油漂着に漁師らため息 貨物船衝突事故 富津

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油が付着した浮きなどを引き上げる関係者ら=20日午前、富津市の竹岡漁港(県提供)

 神奈川県三浦市沖の貨物船同士の衝突事故で、富津市では20日も漁師らが漂着した油の回収作業に追われた。関係者からは「今年の収穫はもう駄目だ」などとため息が漏れた。

 同市沿岸は、沈没したパナマ船籍の貨物船から流出したとみられる油が数十キロにわたり漂着。市と天羽漁協によると、竹岡漁港で同日午前8時ごろから、漁師らが約110人体制で作業を開始。4時間半にわたって吸着マットやひしゃくを使って港内の油を回収したほか、浜金谷港でも木更津港湾事務所の職員らが対応にあたった。

 ヒジキ収穫の最盛期を迎えていた天羽漁協の石井登参事は「油が付いているので取っても臭くて売り物にならない。今月いっぱいが収穫シーズンで一番良い時だったが、今年はもう駄目」と落胆。刺し網漁でも魚を引き揚げる際に海面の油が付くため市場に出せないといい「油が完全になくならないと漁に出られない」と話した。

 県の応急対策本部によると、水深100メートルにある沈没船は約400トンの燃料を積んでおり、現在も流出が続いているとみられる。担当者は「今後どうなるかまだ分からない。長期的な対応が必要になるだろう」と話した。

 第3管区海上保安本部によると、油の流出は館山湾の沖合周辺までの広範囲で確認。富津市以外の沿岸部への漂着は見つかっていない。同本部は周辺海域へ放水を行うなどして油の拡散作業を進めるとともに、行方不明となっている中国人乗組員8人の捜索を続けている。

◆「状況注視し対応」森田知事
 森田健作知事は20日の定例記者会見で「引き続き漁協からの情報をしっかり受け止め、油流出の状況を注視しつつ適切に対応する」などと述べた。