虐待防止条例を制定へ 野田市、小4女児死亡事件教訓に 児童・高齢者・障害者対象 市などの対応規定

野田市役所
野田市役所

 小学4年生だった栗原心愛(みあ)さんが死亡する虐待事件のあった野田市は、児童・高齢者・障害者への包括的な虐待防止条例を制定する方針を決め、市議会定例会に条例案を提出。鈴木有市長は29日の定例記者会見で「事件を起こさないとの思いで策定した」と強調した。市によると、児童・高齢者・障害者を対象にした虐待防止条例は全国9自治体が制定しており、可決されれば県内で松戸市に次いで2例目となる。

 野田市の条例案は、児童・高齢者・障害者への虐待を網羅し、市などの対応をそれぞれ具体的に規定。一方で罰則は設けていない。

 条文では、児童の保護者や高齢者の養護者らは「いかなる理由にかかわらず虐待をしてはならない」と明記。市の指導などを受けた保護者が状況を改善するよう義務付ける一方、市は再発防止のため保護者らへ支援などを行うよう努めるとした。

 高齢者施設などの関係者には、虐待の早期発見に努めることや事案発生時の速やかな通報を課し、市民も児童などがいる家庭の孤立化を避けるよう声かけなどで関わるよう努めるとした。

 また、虐待に関する庁内横断的な組織として「虐待防止対策庁内連絡会」を新設し、毎年5、11月に会合を開くと記載。市長は虐待防止への取り組みを毎年度議会に報告するとした。

 児童虐待と疑われる事案発生時の市対応マニュアルの骨子部分を条文に盛った。高齢者や障害者に対する虐待に関しては、新たに検討した対応策を記した。

 鈴木市長は記者会見で「自治体としての対処法まで明記して形骸化を防ぎ、事案にしっかり向き合うことを確かにする」と強調した。心愛ちゃん虐待死事件については「毎日思い出す。(女児に)申し訳なかったという気持ち」と言葉を詰まらせた。

 市が把握する2022年度の市や児童相談所への児童虐待相談件数は472件。今年4~10月でも307件に上っており、市では「高止まりが続いている」としている。

◇野田小4女児虐待死事件

 野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が2019年1月24日、自宅浴室で死亡し、父が傷害致死罪などに、母が傷害ほう助罪に問われた。心愛さんは17年11月、学校のアンケートで「お父さんにぼう力を受けています」と訴え、児童相談所に一時保護されたが、同年末に解除された。事件後、野田市教育委員会が父にアンケートの写しを渡したことが発覚するなど、行政対応が問題となった。父は懲役16年、母は懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の判決が確定している。


  • LINEで送る